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米国大麻スケジュールIII:6月29日公聴会開幕と全面再分類の焦点

ASA Media編集部
5分
米国大麻スケジュールIII:6月29日公聴会開幕と全面再分類の焦点

米国大麻スケジュールIII:6月29日公聴会開幕と全面再分類の焦点

2026年4月23日、米国司法省(DOJ)のトッド・ブランシュ司法長官代行が歴史的な命令に署名した。FDA承認大麻製品および州の医療大麻ライセンス下にある大麻製品を、連邦規制法上のスケジュールIからスケジュールIIIへ即時移行させるという内容だ。この命令は4月28日に連邦官報(Federal Register)に公示され、同日付で効力を持った。

そして今から約30日後の6月29日、より重大な問いに答えるための公聴会が開幕する。「娯楽用大麻を含むすべての大麻をスケジュールIIIに移行させるべきか」——米国薬物取締局(DEA)が主催するこの行政聴聞会は、米国大麻政策の行方を左右する転換点となる可能性がある。

4月23日命令:何がスケジュールIIIになったか

今回の命令でスケジュールIIIに移行したのは、厳密に定義された2カテゴリーに限られる。まず「FDAが承認した大麻含有医薬品」——てんかん治療薬エピディオレックスなど、すでに臨床的有効性と安全性が確立した製品だ。次に「州の医療大麻ライセンス下で生産・流通する大麻製品」——50州のうち38州が合法化している医療大麻プログラムの対象品が該当する。

この「部分的な移行」は、トランプ政権が2025年12月に署名した大統領令を受けた措置だ。トランプ大統領が署名した行政命令では医療大麻研究の拡大とスケジュール変更の検討が指示され、米議会もその動きを阻止する条項を予算案から削除していた。4月23日命令は、こうした政治的地ならしの結実だと言える。

スケジュールIII移行の即時効果

医療大麻がスケジュールIIIになったことで、何が変わったのか。最も重要なのは、税法280E問題の解消だ。スケジュールI・IIに分類された「規制薬物のみを扱う事業者」は、通常の事業経費を連邦税申告から控除できない。大麻企業は売上原価以外の経費を一切差し引けず、実効税率が70〜80%に膨らむという異常な状態に置かれていた。スケジュールIIIへの移行でこの制限が解除され、標準的な事業控除が認められ、実効税率は20〜30%程度まで下がる計算になる。

研究面でも障壁が低くなる。スケジュールI物質の研究には、DEAや保健福祉省(HHS)の厳格な許認可が必要で、臨床試験の立ち上げに数年かかることもあった。スケジュールIII移行後は許認可ルートが一部簡素化され、FDA承認済み製品と州認可品を対象とした研究が加速すると期待されている。

2026年4月にスタートしたMedicare・CBD保険適用も、この制度的変化の流れの中で実現した施策だ。医療保険制度を通じたCBD製品へのアクセス拡大は、スケジュール変更と連動した政策転換と見ることができる。

6月29日公聴会:全大麻の再分類を審議

4月23日命令が「部分的な移行」に留まった理由は、連邦の正式な行政手続き(フォーマル・ルールメイキング)を経ていないためだ。すべての大麻をスケジュールIIIへ移行させるには、証拠提出・反対尋問・意見書提出を含む正式な審査プロセスが必要になる。

その入口となるのが、6月29日に始まる行政聴聞会だ。場所はバージニア州アーリントンのDEA聴聞施設(700 Army Navy Drive)。司法長官が指定した行政法判事が主宰し、7月15日までに審理を終える予定だ(独立記念日の7月3日は休会し、7月6日に再開)。

聴聞会で問われる核心的な命題は一つ——「すべての形態の大麻を、正式なルールメイキングを通じてスケジュールIからIIIへ移行すべきか」だ。医療目的に限らず、娯楽用大麻の栽培・販売を行う企業もこの問いの行方に注目している。NORMLは2026年5月26日、「消費者の声が反映されなければならない」として聴聞会への参加資格を申請した。

全大麻再分類が実現した場合の変化

仮に6月29日以降の審理で「すべての大麻をスケジュールIII移行」という結論が出た場合、最も大きな恩恵を受けるのはレクリエーション大麻の合法州にある民間企業だ。医療大麻事業者が享受した280E税制の恩恵が、娯楽用大麻企業にも及ぶことになる。税負担が7割削減されれば、業界全体の財務体力が一変する。

研究面では、現在進行中のDEAによる大麻審議プロセスが一段落し、娯楽市場で流通する多様なカンナビノイド製品の臨床研究が行いやすくなる。これは長期的に、大麻の医学的エビデンスの蓄積を後押しする。

金融アクセスについても議論が進む可能性はあるが、銀行の大麻事業者向け融資・口座開設を可能にするSAFEバンキング法のような立法措置が別途必要で、スケジュール変更だけでは自動的に解決しない点に注意が必要だ。

重要な留意点もある。スケジュールIIIに移行しても、娯楽用大麻に関する連邦刑事罰は自動的には変わらない。スケジュールIII物質も引き続き規制薬物であり、連邦法の下では違法行為として訴追される余地が残る。ワシントンD.C.が大麻販売解禁の可能性を模索しているのも、こうした法的グレーゾーンが続く中での動きだ。

公聴会後のスケジュールと見通し

行政聴聞会は6月29日〜7月15日に「始まる」が、最終決定まではさらに時間がかかる。聴聞会終了後、行政法判事が証拠を評価して勧告を作成し、その後DEA長官が正式な規則(ファイナル・ルール)を発行する。全プロセスが完了するまでには、早くても数ヶ月、場合によっては年単位の時間を要するとみられる。

米国大麻合法化の州別状況は今も変化し続けており、再分類の動きはその加速因子になりうる。一方で、連邦ヘンプ製品へのTHC規制強化は2026年11月に予定されており、大麻政策は一本化された方向性を持たず、規制緩和と規制強化が同時進行する複雑な状況にある。

日本のCBD市場への影響

米国の大麻政策の変化は、日本のCBD市場にも間接的な影響を与える。米国でスケジュールIII移行が進めば、大麻由来CBD(hemp-derived CBDではなく、marijuana-derived CBD)の研究データが蓄積されやすくなる。これは、エビデンスに基づいたCBD製品開発の加速につながる可能性がある。

また、米国のCBD製品は日本への主要な供給源の一つだ。280E税制の解消で米国企業の財務体力が改善すれば、品質管理や製品開発への投資が増加し、日本市場に届く製品の質が向上するという間接的な恩恵も期待できる。

ただし、日本国内の規制——2024年12月施行の改正大麻取締法やTHC残留限度値——は米国の政策変更とは独立して運用されている。米国での変化が直ちに日本でのCBD製品の法的地位を変えるわけではない点は明確に理解しておく必要がある。

まとめ

2026年4月23日のAG命令は、米国の大麻政策における最も具体的な前進の一つだ。FDA承認品と州認可医療大麻がスケジュールIIIに移行し、280E税制問題が解消されたことは業界にとって実質的な恩恵をもたらす。しかし、娯楽用大麻の全面的な再分類はまだ確定していない。6月29日に始まる公聴会がその行方を左右する入口となり、審理終了後も最終規則まで数ヶ月の時間軸で見守る必要がある。米国の大麻政策は、規制緩和と強化が同時に進む多層的な変化の中にある。

よくある質問(FAQ)

なりません。スケジュールIIIは依然として連邦規制薬物です。娯楽用大麻の連邦法上の違法性は変わらず、刑事罰も自動的には解除されません。変わるのは主に税制(280E)と研究規制です。

出ません。公聴会は証拠提出と審理の「開始」であり、行政法判事の勧告→DEA長官の最終規則発行まで、さらに数ヶ月から1年以上かかるとみられています。

直接的な影響はほぼありません。日本の規制(改正大麻取締法・THC残留限度値)は米国の政策と独立しています。ただし長期的には米国産CBD製品の品質向上や研究データの蓄積が、日本市場にも好影響を与える可能性があります。

現時点での主な例はEpidiolex(CBD製剤、てんかん治療薬)です。FDA承認を受けた大麻含有医薬品は今回の命令でスケジュールIIIに即時移行しました。

280Eは連邦規制薬物(スケジュールI・II)を扱う事業者が通常の事業経費を連邦税から控除することを禁じる税法条項です。大麻企業は売上原価以外の経費を控除できず、実効税率が70〜80%に達していました。スケジュールIII移行でこの制限が解除され、税負担が約20〜30%に低下します。

参考情報源

  1. Justice Department Places FDA-Approved Marijuana Products in Schedule III — U.S. Department of Justice (2026年4月23日)
  2. Federal Register: Schedules of Controlled Substances: Rescheduling of Marijuana (2026-08177) — Federal Register (2026年4月28日)
  3. DEA Downschedules State Medical Marijuana; Expedited Hearing Set — Gibson Dunn LLP (2026年)
  4. Cannabis Rescheduling: DOJ, Treasury, and DEA Updates Since the April 23 Order — Foley Hoag LLP (2026年4月)
  5. NORML Seeks Seat at DEA Marijuana Rescheduling Hearing — NORML (2026年5月26日)
  6. After Schedule III: What the June 2026 Hearing Could Change — Health Data Consortium (2026年)
  7. Cannabis Rescheduling Schedule III: DOJ Order Explained — Scarinci Hollenbeck LLC (2026年)

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