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大麻取締法とは?現行法の規制内容と2023年改正を徹底解説

ASA Media編集部
12分
大麻取締法とは?現行法の規制内容と2023年改正を徹底解説

この記事のポイント

✓ 2024年12月12日施行の現行法では、使用罪が新設され大麻使用は7年以下の懲役

✓ 部位規制から成分規制へ移行し、THC 0.3%以下であれば部位に関わらず合法(CBD製品含む)

✓ 医療用大麻製剤は条件付きで解禁されたが、一般使用は依然として違法

大麻取締法は、日本における大麻規制の基本法です。1948年に制定されて以来、長く部位規制(花穂・葉のみ規制)を採用してきましたが、2024年12月12日に大幅な改正が施行されました。この改正により、使用罪の新設、成分規制への移行、医療用大麻の条件付き解禁という歴史的な転換を迎えています。本記事では、現行法の規制内容と改正のポイントを詳しく解説します。

現行法の基本情報

大麻取締法は、2024年12月12日の改正施行により大きく変わりました。まず、法律の正式名称自体が変更されています。改正前は「大麻取締法」でしたが、現行法では「大麻草の栽培の規制に関する法律」に改称されました。これは、大麻が麻薬及び向精神薬取締法において「麻薬」として位置付けられたためです。

現行法の制定年は1948年(昭和23年)で、GHQの指導により戦後に導入されました。その後、75年以上の歴史の中で数回の改正を経てきましたが、2023年の改正は最も大規模なものです。法律の目的は第1条に「大麻の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もって公共の福祉の増進を図ること」と定められています。

現行法の規制内容(2024年12月12日以降)

現行法では、従来の部位規制から成分規制へと大きく転換しました。この変更により、規制の考え方が根本的に変わっています。以下、現行法の主な規制内容を説明します。

成分規制への移行

現行法の最も重要な変更点は、成分規制の導入です。改正前は大麻草の「花穂」と「葉」のみを規制対象としていましたが、現行法ではTHC(テトラヒドロカンナビノール)の含有量で規制するように変わりました。具体的には、THC含有量が0.3%を超える製品が違法となり、0.3%以下であれば原料となる大麻草の部位に関わらず合法です。

この変更により、従来の「茎・種子由来であれば合法」という部位規制から、「THC 0.3%以下であれば合法(部位は関係ない)」という成分規制に移行しました。したがって、CBD製品が合法であるためには、THC含有量が0.3%以下である必要があります。実務上は、より安全性を確保するためTHC検出限界以下(ND: Not Detected)の製品が推奨されています。

禁止行為

現行法では、以下の行為が禁止されています。それぞれに罰則が定められており、違反した場合は刑事罰の対象となります。

第一に、栽培は都道府県知事の免許が必要です(第3条)。免許なく大麻草を栽培した場合、7年以下の懲役に処されます。第二に、所持と譲渡・譲受は原則として禁止されており(第24条の2)、違反すると7年以下の懲役となります。第三に、輸入・輸出も禁止行為です(第24条)。これらも7年以下の懲役の対象です。

そして、2023年改正で新たに追加されたのが使用罪です(第24条の8)。大麻を使用した場合、7年以下の懲役に処されます。これは改正前にはなかった規定で、現行法の最も重要な変更点の一つです。改正前は「使用しても処罰されない」という誤解が広がっていましたが、現行法では使用自体が犯罪となります。

医療用大麻の条件付き解禁

一方で、現行法では医療用大麻製剤が条件付きで解禁されました。具体的には、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく承認を受けた大麻由来医薬品に限り、医師の処方のもとで使用が認められます。

現在、日本で承認が検討されている代表的な医薬品は「エピディオレックス」です。これはCBDを主成分とする難治性てんかん治療薬で、既に欧米では広く使用されています。ただし、一般の人が医師の処方なしに医療用大麻を使用することは依然として違法です。

2023年改正で何が変わったか

2023年12月に成立した改正法は、2024年12月12日に施行されました。この改正により、日本の大麻規制は歴史的な転換点を迎えています。以下、主な変更点を詳しく説明します。

改正前後の比較

改正により、規制の枠組みが大きく変わりました。以下の表で、改正前と改正後の主な違いを比較します。

項目改正前(2024年12月11日まで)改正後(2024年12月12日以降)
規制の考え方部位規制(花穂・葉のみ)成分規制(THC含有製品全般)
使用罪なし(使用は処罰されなかった)あり(7年以下の懲役)
医療用大麻全面的に禁止条件付きで解禁(薬機法承認が必要)
CBD製品の条件茎・種子由来であれば合法(THC含有量は不問)THC 0.3%以下であれば合法(部位は不問)
法律の名称大麻取締法大麻草の栽培の規制に関する法律

この表から分かるように、改正により規制の枠組みが部位規制から成分規制へと根本的に変わりました。また、使用罪の新設により、大麻を使用するだけで刑事罰の対象となります。一方で、医療用途には条件付きで道が開かれたことも重要なポイントです。

改正のタイムライン

改正法の成立から施行までの経緯を時系列で整理します。

2023年10月

厚生労働省が改正案を発表

使用罪の新設と医療用大麻の解禁を提案

2023年12月

改正法が国会で可決・成立

施行日は1年後の2024年12月12日と決定

2024年12月12日

改正法が施行される

使用罪が発効し、成分規制が開始

改正案の発表から施行まで約1年の準備期間が設けられました。これは、国民への周知徹底や関連業界の対応準備のためです。特にCBD製品を扱う事業者は、製品のTHC含有量検査体制を強化する必要がありました。

改正の3つの柱

改正法には、3つの主要な変更点があります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

第一の柱は、使用罪の新設です。これは改正の最も重要なポイントで、大麻を使用しただけで7年以下の懲役に処されるようになりました。改正前は、所持や栽培は違法でしたが、使用自体は処罰されませんでした。この「使用は処罰されない」という状況が若年層の間で誤解を生み、大麻使用者が増加する一因となっていました。使用罪の新設により、大麻使用の抑止効果が期待されています。

第二の柱は、医療用大麻の条件付き解禁です。薬機法に基づく承認を受けた大麻由来医薬品に限り、医師の処方のもとで使用が認められるようになりました。これにより、難治性てんかんや慢性疼痛などの患者が、科学的に効果が実証された医療用大麻製剤にアクセスできる道が開かれました。ただし、承認を受けていない大麻製品を医療目的で使用することは依然として違法です。

第三の柱は、成分規制への移行です。従来の部位規制(花穂・葉のみ規制)から、THC含有量による規制へと転換しました。具体的には、THC含有量0.3%を基準とし、これを超える製品は原料の部位に関わらず違法、0.3%以下であれば部位に関わらず合法となりました。この変更は、規制の実効性を高めるとともに、国際的な規制基準との整合性を図る目的があります。

改正前の法律(2024年12月11日まで)

改正前の大麻取締法は、部位規制を基本としていました。この規制方式は、法律制定時の1948年から75年以上続いた伝統的なアプローチです。改正前の法律を理解することで、現行法の変更点がより明確になります。

部位規制の内容

改正前の法律では、大麻草の「花穂」と「葉」のみが規制対象でした。一方、「成熟した茎」と「種子」は規制対象外と明記されていました(第1条)。この規定により、成熟した茎や種子から作られる製品は、たとえ微量のTHCが含まれていても合法とされていました。

この部位規制の背景には、日本の伝統産業への配慮がありました。大麻草は古くから繊維や種子の採取に使われており、神社の注連縄や麻織物など日本文化に深く根ざしています。そのため、産業用途に使われる茎と種子は規制対象外とされたのです。

使用が処罰されなかった理由

改正前の法律では、大麻の使用自体は処罰されませんでした。栽培、所持、譲渡、輸入・輸出は違法でしたが、使用罪は存在しませんでした。これは、日本の薬物規制の歴史的な考え方に基づいています。

ただし、これは「使用が合法」という意味ではありませんでした。大麻を使用するには必ず所持する必要があるため、実質的には所持罪で処罰されていました。しかし、「使用自体は処罰されない」という誤解が広がり、特に若年層の間で大麻使用のハードルを下げる結果となっていました。

改正の必要性

改正前の部位規制には、いくつかの問題点がありました。第一に、THC含有量に関わらず部位のみで判断する規制方式は、実効性に欠けていました。例えば、成熟した茎から抽出されたとされる製品でも、実際には花穂由来のTHCが混入している可能性があり、取締りが困難でした。

第二に、国際的な規制基準との乖離が問題視されていました。国連の薬物関連条約では、THCを含む製品の規制が求められており、部位のみで判断する日本の規制方式は国際標準から外れていました。第三に、若年層の大麻使用者が増加傾向にあり、より実効性のある規制が必要とされていました。これらの問題を解決するため、2023年の大規模改正が実施されました。

CBD製品が合法な理由と条件

現行法のもとでも、CBD製品は一定の条件を満たせば合法です。しかし、改正により条件が厳格化されたため、注意が必要です。以下、CBD製品が合法である理由と、満たすべき条件を詳しく説明します。

法的根拠

現行法(2024年12月12日以降)では、CBD製品が合法である根拠は成分規制に基づきます。THC含有量が0.3%以下であれば、原料となる大麻草の部位に関わらず合法です。これは、改正により部位規制から成分規制へ移行したためです。

改正前は、大麻取締法第1条で「大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く)並びに大麻草の種子及びその製品」を規制対象外としていました。つまり、茎・種子由来であればTHC含有量に関わらず合法でした。しかし、現行法ではこの部位規制は廃止され、THC含有量0.3%以下という成分基準のみが適用されます。

合法となる主な条件

CBD製品が日本で合法となるためには、以下の条件を満たす必要があります。

第一の条件:THC含有量が0.3%以下であること これが現行法の最も重要な基準です。原料の部位(花穂・葉・茎・種子)に関わらず、THC含有量が0.3%を超えれば違法、0.3%以下であれば合法です。実務上は、より安全性を確保するためTHC検出限界以下(ND: Not Detected)の製品が推奨されています。第三者機関による成分分析書(Certificate of Analysis: COA)でTHC含有量を確認することが重要です。

第二の条件:適切な輸入・販売手続きを経ていること CBD製品を輸入する際は、税関に成分分析書を提出し、THC含有量が基準以下であることを証明する必要があります。これらの手続きを経ずに輸入された製品は、たとえ条件を満たしていても違法となる可能性があります。

なお、改正前は原料の部位証明書(茎・種子由来であることの証明)も必要でしたが、現行法では部位規制が廃止されたため、THC含有量の証明が主な審査対象となります。

注意すべきポイント

CBD製品を購入・使用する際には、いくつかの注意点があります。まず、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが重要です。製品に第三者機関による成分分析書(Certificate of Analysis: COA)が添付されているかを確認しましょう。分析書には、THC含有量がND(検出限界以下)であることが明記されているはずです。

また、海外から個人輸入する際は特に注意が必要です。海外では合法でも、日本の基準を満たしていない製品は違法となります。税関で没収されるだけでなく、悪質な場合は刑事罰の対象となる可能性もあります。CBD製品を購入する際は、日本の法律に準拠した製品であることを必ず確認してください。

罰則

大麻取締法に違反した場合、以下の罰則が科されます。改正により使用罪が新設されたため、罰則の適用範囲が拡大しています。

行為罰則営利目的の場合
栽培7年以下の懲役10年以下の懲役
または懲役+300万円以下の罰金
輸入・輸出7年以下の懲役10年以下の懲役
または懲役+300万円以下の罰金
所持・譲渡7年以下の懲役10年以下の懲役
または懲役+300万円以下の罰金
使用(2024年12月12日〜)7年以下の懲役-

初犯で少量所持の場合、懲役6ヶ月から1年程度で執行猶予が付くことが多いですが、営利目的や常習性が認められる場合は実刑判決の可能性が高くなります。使用罪については、初犯であっても状況によって実刑となる可能性があります。

大麻取締法の歴史

日本における大麻規制の歴史は、戦後のGHQ統治期に始まります。それ以前、日本では大麻草は繊維や種子の採取目的で広く栽培されており、規制はほとんどありませんでした。

制定の背景(1948年)

1948年、GHQの指導により大麻取締法が制定されました。これは、アメリカの大麻禁止政策を日本に導入するものでした。しかし、日本の伝統産業への配慮から、成熟した茎と種子は規制対象外とされました。この部位規制の考え方は、2024年の改正まで75年以上続きました。

日本の伝統と大麻

大麻草は、古代から日本文化に深く根ざしてきました。神道の儀式では注連縄や大麻(おおぬさ)として使用され、麻織物は高級衣料として珍重されました。江戸時代には繊維と種子の採取が盛んで、多くの農家が大麻草を栽培していました。戦前は特に規制がなく、合法的に栽培・使用されていた歴史があります。

規制強化の経緯

1990年代以降、若年層の大麻使用が社会問題化し始めました。2000年代には検挙者数が増加傾向となり、2010年代には大麻使用者の低年齢化が進みました。こうした状況を受けて、2023年に使用罪を新設する大規模改正が実施され、2024年12月12日に施行されました。

FAQ

Q1: CBD製品は大麻取締法で違法ではないのですか?

CBD製品は、THC含有量が0.3%以下であれば合法です。2024年12月12日施行の改正法により、従来の部位規制(茎・種子のみ合法)から成分規制(THC 0.3%以下が合法)に移行しました。原料の部位に関わらず、THC含有量が基準以下であれば合法です。実務上は、より安全性を確保するためTHC検出限界以下(ND)の製品が推奨されており、第三者機関の成分分析書を確認することが重要です。

Q2: 大麻を使用しただけで逮捕されますか?

2024年12月12日以降は、使用だけで7年以下の懲役となります。改正前は使用自体は処罰されませんでしたが、改正後は「使用罪」が新設され、使用も違法行為となります。尿検査などで大麻使用が判明した場合、逮捕・起訴される可能性があります。

Q3: 医療目的であれば大麻を使用できますか?

医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく承認を受けた大麻由来医薬品に限り、医師の処方のもとで使用が認められます。現在、エピディオレックスなどの医薬品が承認対象として検討されています。ただし、承認を受けていない大麻製品を医療目的で使用することは違法です。

Q4: 大麻取締法の免許を取得するにはどうすればいいですか?

都道府県知事に申請が必要です。繊維・種子採取目的、研究目的、伝統工芸品の原料目的などの正当な理由が必要で、審査は非常に厳格です。現在、全国で約30-40人しか免許保持者がおらず、取得は極めて困難です。

Q5: 海外で大麻を使用した場合、日本でも処罰されますか?

日本の刑法は属地主義を原則としており、海外での行為については原則として日本の法律は適用されません。ただし、帰国後に尿検査などで大麻使用が判明した場合、使用時期によっては国内での使用と推定され、処罰される可能性があります。

まとめ

この記事のまとめ

2024年12月12日施行の現行法では、使用罪の新設により大麻使用が刑事罰の対象となり、罰則は7年以下の懲役です

部位規制から成分規制へ移行し、THC含有量0.3%を基準として規制するようになりました。0.3%超は違法、0.3%以下は合法(部位は不問)です

CBD製品は、原料の部位に関わらずTHC 0.3%以下であれば合法です。実務上はTHC検出限界以下(ND)の製品が推奨されています

医療用大麻は条件付きで解禁されましたが、薬機法承認と医師の処方が必要で、一般使用は依然として違法です


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日本の規制動向

海外の規制動向

関連用語


参考文献

[1]
大麻の所持・譲渡、使用、栽培は禁止!法改正の内容も紹介します
政府広報オンライン、2025年
[2]
厚生労働省 薬物乱用防止に関する情報
厚生労働省、2025年
[3]
大麻取締法 - e-Gov法令検索
e-Gov、2025年
[4]
大麻取締法 - Wikipedia
Wikipedia、2025年
[5]
大麻使用はいつから違法?使用罪の刑罰は?12月施行の大麻取締法改正を解説
アトム弁護士相談、2025年

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