CBN(カンナビノール)規制は妥当か?指定薬物化の科学的根拠を徹底検証【パブコメ〜11/27】

⚠️ 利益相反の開示: この記事は、カンナビノイド関連製品を取り扱うC&H株式会社によって作成されており、CBN規制に関して潜在的な利害関係を有しています。
この記事のポイント
✓ CBN指定薬物化の科学的根拠は不十分であり、慎重な再検討が必要
✓ 拙速な規制は医療研究の停滞やより危険な物質への需要シフトを招くリスク
✓ パブリックコメント募集中(2025年11月27日まで)—市民の声が政策に反映されるチャンス
2025年10月28日、厚生労働省の指定薬物部会はカンナビノール(CBN)を指定薬物とする答申を行いました。この決定を受け、現在パブリックコメントが募集されています。募集期限は2025年11月27日までです。C&H株式会社が運営するTHE ASA MEDIA編集部は、大麻・CBD・カンナビノイドに関する正確な情報を提供するメディアとして、科学的根拠と公衆衛生の視点からこの規制案を検証しました。
その結果、CBNが規制対象となる「精神毒性」を持つという決定的な証拠が不足していることが明らかになりました。さらに、拙速な規制は医療研究の停滞を招く恐れがあります。また、より危険な未検証物質への需要シフトという公衆衛生上のリスクも懸念されます。本記事では、科学的検証に基づいた詳細な分析と、THE ASA MEDIA編集部としてのスタンスを提示します。
CBN規制問題の背景
2025年10月28日に厚生労働省が発表したCBN指定薬物化の答申は、日本のカンナビノイド市場に大きな波紋を広げています。CBN(カンナビノール)は、THCが酸化・劣化することで生成されるカンナビノイドの一種です。これまで伝統的に「非精神活性」または「非常に弱い精神活性」と分類されてきました。
日本では2020年頃から睡眠サポート目的でCBN製品が市場に流通しています。CBD市場(2022年: 259億円、矢野経済研究所調べ)が先行して拡大する中、CBN市場も一定の規模に達しています。指定薬物とは、中枢神経系への作用を有し、乱用のおそれがあると認められる物質を指します。製造・輸入・販売・所持・使用などが法律で禁止されます。
今回の規制案の直接的な契機となったのは、2025年5月に発生した山梨学院大学レスリング部員の転落事故です。同部員はCBN含有クッキーを摂取後、寮から転落し重傷を負いました。この事件を受け、厚労省はCBNの精神毒性を懸念しました。そのため、規制に踏み切る方針を示しました。しかし、科学的な観点から見ると、この規制案にはいくつかの重要な疑問点があります。
日本でCBN製品の流通が開始
睡眠サポート目的での使用が広がる
山梨学院大学レスリング部員の転落事故
CBN含有クッキー摂取後に発生
厚労省指定薬物部会がCBNを指定薬物とする答申
パブリックコメント募集開始(〜11月27日)
このタイムラインを見ると、約5年間の合法的な流通期間を経て、単一の事故をきっかけに規制が検討されていることがわかります。しかし、この流れには慎重な検討が必要です。次のセクションでは、CBNの精神毒性に関する科学的根拠を詳細に検証します。

科学的根拠の検証
THE ASA MEDIA編集部は、複数の学術論文とレビューを精査しました。その結果、CBNが規制対象となる「精神毒性」を持つという決定的な証拠は不足していることが明らかになりました。以下では、CBNの精神毒性に関する科学的根拠を詳細に検証します。
CBNに精神毒性が認められない根拠
最も重要な一次情報は、1975年に発表されたKarniolらによるヒト臨床試験です。この研究では、健康な成人5名に対してCBN 50mgを単体で経口投与しました。その結果、THC 25mg投与時に見られた「酔った」「めまい」「眠気」といった主観的な精神作用は報告されませんでした。
この研究にはいくつかの限界があります。サンプルサイズが非常に小さい(N=5)ことが挙げられます。また、50年近く前の古い研究であることも考慮する必要があります。そのため、信頼度は60%程度と評価されます。しかし、ヒトへの直接投与という点で重要な証拠であることは間違いありません。
さらに、2021年のCorroonによる系統的レビューでは、CBNのヒトへの影響を調査した研究の大半は1970〜80年代の小規模なものであることが指摘されています。そして、「利用可能な証拠の大半は、CBNが大麻様の効果をヒトで引き起こすという主張を支持しない」と結論付けています。この評価は信頼度90%と高く評価できます。これは現行エビデンスの包括的レビューに基づく科学界における現在の理解を正確に反映しています。
最も重要な点は、CBN単体のヒトへの精神作用に関する現代的な高品質研究がほぼ存在しないことです。現在の知見は、半世紀近く前の小規模研究に大きく依存しています。また、動物実験やTHCとの混合研究に基づくものが多いのが現状です。
精神毒性の可能性を示唆する根拠とその限界
一方で、2024年11月に発表されたPhanらによるラット実験では、CBNが総睡眠時間を有意に増加させる「鎮静作用」が報告されました。この研究では、CBN自体のCB1受容体(THCが作用する受容体)への活性は非常に低いことが示されました。代わりにその代謝物である11-hydroxy-CBNが強力なCB1活性を持つことが発見されました。
しかし、この研究には重要な限界があります。第一に、動物実験であり、ヒトでの代謝や作用が同一かは不明です。第二に、投与量がヒト換算でも市場製品より過剰量です。第三に、投与方法が腹腔内(IP)投与で、経口投与より吸収効率が圧倒的に大きいという問題があります。これらの理由から、信頼度は50%程度と評価されます。ヒトへの外挿可能性には大きな疑問が残ります。
| 研究 | エビデンス | 信頼度 | 結論 |
|---|---|---|---|
| Karniol 1975(ヒト) | CBN 50mg単体投与で精神作用なし | 60% | 非精神活性を支持 |
| Corroon 2021(レビュー) | 大麻様の効果を支持する証拠なし | 90% | 非精神活性を強く支持 |
| Phan 2024(ラット) | 鎮静作用あり(代謝物が関与) | 50% | ヒトへの外挿性は不明 |
この比較表から明らかなように、ヒトでのエビデンスは「非精神活性」を支持しています。一方で、動物実験の結果をそのままヒトに適用することには慎重であるべきです。また、「鎮静作用(眠気)」が法律上の「精神毒性」に該当するかどうかは、科学的というよりも法的解釈の問題を含みます。もし「眠気」が精神毒性と見なされるのであれば、抗ヒスタミン薬や睡眠薬など多くの合法的な医薬品も同様の議論の対象となるはずです。

THE ASA MEDIAのスタンス
上記の科学的検証を踏まえ、THE ASA MEDIA編集部は以下の3つの立場を表明します。これらは科学的根拠と公衆衛生の観点から、慎重に検討した結果導き出されたものです。
1. 科学的根拠の不足
CBNが規制対象となる「精神毒性」を持つという決定的な証拠は不足しています。多くの学術文献は、CBNを「非精神活性」または「非常に弱い精神活性」と分類しています。ヒトでTHC様の「高揚感(ハイ)」を引き起こすという高品質な現代的エビデンスは存在しません。
一部で指摘される「鎮静作用(眠気)」については、動物実験の結果に基づくものです。ヒトでの作用が同一かは科学的に証明されていません。また、「鎮静作用」が法律上の「精神毒性」に該当するかどうかは、科学的というよりも法的解釈の問題を含みます。もし「眠気」が精神毒性と見なされるのであれば、抗ヒスタミン薬や睡眠薬など多くの合法的な医薬品も同様の議論の対象となるはずです。
2. 拙速な規制がもたらす公衆衛生上のリスク
科学的根拠が不十分なまま規制を導入することは、かえって公衆衛生上のリスクを高める可能性があります。
第一に、CBNは睡眠障害への潜在的な治療効果が示唆されています。2024年の日本人CBNユーザー515名を対象にした研究では、33.8%が医療目的で使用していました。そして、QOL(生活の質)改善に寄与していることが報告されています。指定薬物化により、こうした潜在的な医療応用に関する研究が著しく制限される恐れがあります。科学的知見の蓄積が停滞することも懸念されます。
第二に、安全性が比較的確認されているCBN製品の市場を閉ざすことで、利用者がより危険な物質に移行する可能性があります。具体的には、未検証の合成カンナビノイド(THCH、HHCH等)への「需要シフト」が発生するリスクがあります。これは、過去のO系カンナビノイド規制後に実際に観察された現象です。公衆衛生の観点から深刻な懸念事項と言えます。
第三に、CBNは2020年から約5年間、日本国内で合法的に流通しています。この間、CBN使用に起因する重大な健康被害の報告は極めて限定的です(山梨の事故を除く)。この流通実績は、CBNの相対的な安全性を示唆する重要なデータです。単一の事故事例だけで約5年間の流通実績がある市場を閉鎖することは、政策決定として慎重さを欠きます。
3. 求められる対応
THE ASA MEDIA編集部は、以下の3つの対応を強く求めます。
まず、現在募集中のパブリックコメントへの積極的参加を呼びかけます。厚生労働省はCBN規制案に対するパブリックコメントを2025年11月27日まで募集しています。科学的根拠に基づいた意見を提出することで、政策決定に市民の声を反映させることができます。あなたの声が、科学的に合理的な政策決定に貢献します。
次に、規制導入の一時延期と追加の科学的研究の実施を提案します。CBNの精神毒性に関する現代的で高品質なヒト研究が決定的に不足している現状を踏まえる必要があります。規制導入を一時延期し、追加の科学的研究を実施すべきです。具体的には、現代的なヒト臨床試験の実施(適切なサンプルサイズ、二重盲検法)が必要です。また、日本人を対象とした安全性評価、既存ユーザーの長期追跡調査も求められます。
最後に、全面的な指定薬物化ではなく、段階的な規制アプローチの検討を提案します。例えば、含有量の上限設定(1製品あたりCBN含有量を50mg以下に制限)が考えられます。また、販売チャネルの制限(薬局・専門店のみでの販売)、年齢制限の導入(20歳未満への販売禁止)も選択肢です。さらに、製品ラベルへの注意喚起表示の義務化なども検討に値します。こうした段階的アプローチにより、リスクを最小限に抑えつつ、潜在的な医療応用の可能性を残すことができます。
山梨の事故についての見解
2025年5月の山梨学院大学レスリング部員の転落事故は、痛ましい出来事です。被害者とご家族に心からお見舞い申し上げます。しかし、この事故を根拠にCBN全体を規制することには、科学的・政策的観点からいくつかの疑問があります。
第一に、事故とCBN摂取の直接的な因果関係は、科学的に証明されていません。他の要因が関与した可能性も排除できません。具体的には、アルコール、他の物質、既往症、製品の汚染などが考えられます。単一の事故事例から因果関係を断定することは、科学的には危険です。より包括的な調査と分析が必要です。
第二に、一つの事故事例を根拠に、約5年間の流通実績がある市場を閉鎖することは、政策決定として慎重さを欠きます。過去5年間の流通実績全体を考慮した、より包括的なリスク評価が必要です。例えば、アルコールや処方薬による事故は年間数千件発生していますが、これらは全面禁止されていません。リスクと便益のバランスを慎重に評価する必要があります。
第三に、仮にCBN製品が事故に関与していたとしても、問題は「CBN自体の精神毒性」ではない可能性があります。むしろ「製品の品質管理」に問題があったのかもしれません。具体的には、THC混入、過剰含有量、製造工程の問題等が考えられます。この場合、全面規制ではなく、品質管理基準の強化が適切な対応策です。製品の第三者検査の義務化、THC混入の厳格な検査、製造プロセスの透明性確保などが有効でしょう。
FAQ
現時点でのヒトを対象とした研究では、CBNが重大な精神活性作用を持つという証拠は限定的です。1975年のKarniol研究ではCBN 50mg単体投与で精神作用が報告されず、2021年のCorroonレビューでも大麻様の効果を支持する証拠はないと結論づけられています。ただし、高品質な現代的研究が不足しているため、「完全に安全」とも「危険」とも断定できないのが現状です。この科学的不確実性こそが、拙速な規制ではなく追加研究の必要性を示しています。
厚生労働省ウェブサイト「e-Gov」から電子申請が可能です。2025年11月27日(木)23:59まで受け付けています。提出には氏名(法人の場合は名称)、住所、意見内容の記載が必要です。科学的根拠に基づいた具体的な意見(例: 「現代的なヒト研究が不足しているため、規制前に追加研究を実施すべき」など)を記載することをお勧めします。
パブリックコメント期間終了後、厚労省が最終的な判断を行い、政令改正の手続きを経て施行されます。過去の類似薬物(THCH等)の例では、パブコメ終了から数日~数週間で施行された実績があり、今回も非常に迅速に規制が開始される可能性がありますが、正確な施行日は未定です。THE ASA MEDIAでは、今後の動向を継続的に追跡し、最新情報を提供します。
CBDとCBNはどちらもカンナビノイドですが、生成過程と作用が異なります。CBDは大麻草に自然に含まれる成分で、抗炎症・抗不安作用があり、日本では茎・種子由来のものが合法です。一方、CBNはTHCが酸化・劣化して生成される成分で、睡眠サポート効果が示唆されています。CBDは非精神活性と広く認められていますが、CBNについては科学的評価が分かれており、今回の規制議論の対象となっています。
アメリカでは連邦レベルでCBNは規制されておらず、多くの州で合法的に販売されています。欧州でも大半の国でCBNは規制対象外です。カナダでは大麻由来カンナビノイド全般が規制されていますが、医療目的での使用は認められています。日本のように単一の事故をきっかけにCBN全体を指定薬物化する動きは、国際的に見ても稀です。
まとめ
📝 この記事のまとめ
CBN指定薬物化の科学的根拠は不十分であり、ヒトでの現代的な高品質研究が決定的に不足しています
拙速な規制は医療研究の停滞やより危険な物質への需要シフトを招き、かえって公衆衛生上のリスクを高める可能性があります
パブリックコメント(〜11/27)を通じて市民の声を届け、科学的根拠に基づいた政策決定を求めることが重要です
全面規制ではなく、段階的な規制アプローチ(含有量制限、販売チャネル制限等)を検討すべきです
THE ASA MEDIA編集部(運営: C&H株式会社)は、カンナビノイド政策が科学的根拠に基づき、公衆衛生を最優先に決定されることを強く希望します。読者の皆様には、パブリックコメントへの積極的な参加をお願いいたします。あなたの声が、より科学的で合理的な政策形成に貢献します。
免責事項: この記事は、C&H株式会社が運営するTHE ASA MEDIA編集部の見解であり、特定の法的立場を推奨するものではありません。CBN製品の使用については、自己責任のもと、最新の法規制を確認の上、慎重にご判断ください。


