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CBD製品からTHC基準超過が相次ぎ発覚|福岡・東京の違反事例と消費者の自衛策

ASA Media編集部
8分
CBD製品からTHC基準超過が相次ぎ発覚|福岡・東京の違反事例と消費者の自衛策

この記事のポイント

2025年5月、福岡県の買い上げ調査で「CBD EAST GUMMIES いちご味」から残留限度値(1ppm)超えのΔ9-THCが検出された

2025年11月、東京都の調査でも「ピローCBDナイトドリンク」から基準超過(0.1ppm)のΔ9-THCが見つかった

基準超過の製品は「麻薬」に該当し、所持・使用だけで法的責任を問われる可能性がある

消費者はCOA(成分分析証明書)の確認やロット番号の照合で自衛することが重要

2024年12月12日に施行された改正大麻取締法により、CBD製品に含まれるTHC(テトラヒドロカンナビノール)の残留限度値が初めて法的に明確化されました。従来の「部位規制」から「成分規制」へと移行したこの改正は、CBD市場の安全性を高める画期的な一歩とされていました。しかし施行からわずか半年後の2025年5月、そして同年11月と、基準を超えるTHCを含んだCBD製品が相次いで発覚しています。

本記事では、福岡県と東京都で確認された2つの違反事例を時系列で整理し、何が起きたのかを事実ベースで報道します。そのうえで、消費者が自分の手元にある製品の安全性をどう確認すればよいか、具体的な自衛策を解説します。

THC残留限度値の基準をおさらい

本題に入る前に、改正法で定められたTHC残留限度値の基準を確認しておきましょう。2024年12月12日施行の改正大麻取締法では、CBD製品に含まれるΔ9-THC(デルタ9-テトラヒドロカンナビノール)の上限が、製品の形態ごとに3つの区分で設定されました。この基準を超える製品は、大麻由来であるか否かにかかわらず、麻薬及び向精神薬取締法上の「麻薬」として扱われます。

具体的な基準値は以下の通りです。油脂および粉末(CBDオイル、CBDパウダーなど)は10ppm(10mg/kg)、水溶液(CBDドリンク、化粧水など)は0.1ppm(0.1mg/kg)、そしてその他の製品(グミ、カプセル、食品など)は1ppm(1mg/kg)です。水溶液の基準が特に厳しい理由は、液体製品ではTHCが体内に吸収されやすいためとされています。

なお、日本の10ppmという油脂類の基準値は、米国で許容されている3,000ppm(0.3%)と比べて300倍厳しい値です。The Japan Timesは2025年9月の報道で、日本の基準を「世界で最も厳しい水準」と表現しています。この厳格な基準のもとで、実際にどのような違反が発覚したのかを見ていきましょう。

事例1:福岡県「CBD EAST GUMMIES いちご味」

2025年2月

福岡県が県内の店舗からCBD製品12製品を買い上げ、成分調査を実施

2025年5月23日

福岡県が調査結果を公表。12製品中1製品「CBD EAST GUMMIES いちご味」から残留限度値超えのΔ9-THCを検出

2025年5月23日(同日)

厚生労働省が消費者向けの注意喚起を発出。九州厚生局麻薬取締部と連携し立入検査・販売停止を指導

改正法施行後、最初に公表されたTHC基準超過事例は福岡県で発覚しました。2025年2月、福岡県薬務課が県内店舗から買い上げた12のCBD製品を対象に成分検査を行ったところ、「CBD EAST GUMMIES いちご味」(1袋8粒入りのグミ)から、残留限度値を超える濃度のΔ9-THCが検出されました。グミはTHC残留限度値の区分では「その他」に該当し、基準値は1ppmです。

福岡県は同年5月23日にこの調査結果を公表し、同時に九州厚生局麻薬取締部を通じて厚生労働省へ情報を提供しました。県と麻薬取締部は販売店への立入検査を行い、販売停止を指導しています。厚生労働省もただちに消費者向けの注意喚起を発出し、同製品の「販売・購入・摂取を決して行わないように」と呼びかけました。

重要なのは、この基準超過の製品は麻薬及び向精神薬取締法上の「麻薬」に該当する疑いがあると判定された点です。つまり、この製品を知らずに所持していた消費者も、法的にはリスクのある状態に置かれていたことになります。なお、福岡県の発表時点で同製品の摂取による健康被害の報告はありませんでした。

事例2:東京都「ピローCBDナイトドリンク」

2023年8月17日

株式会社バランスド(東京都渋谷区)が「ピローCBDナイトドリンク」を発売

2025年7月

同製品の賞味期限が到来。この時点で販売は実質的に終了していた

2025年11月17日

東京都が買い上げ調査の結果を公表。残留限度値超えのΔ9-THCを検出。厚生労働省も第2報として注意喚起を発出

福岡の事例から約半年後、今度は東京都の買い上げ調査で2例目の基準超過が明らかになりました。対象となったのは「ピローCBDナイトドリンク」(50ml入りの清涼飲料水)で、販売元は株式会社バランスド(東京都渋谷区)、製造は委託先のタンポポ産業株式会社が担っていました。

この製品は水溶液に区分されるため、THC残留限度値は0.1ppm(0.1mg/kg)という非常に厳しい基準が適用されます。東京都の検査の結果、この基準を超えるΔ9-THCが検出されました。ただし、東京都は超過した具体的な数値を「非公表」としており、どの程度の超過だったかは明らかにされていません。

この事例で注目すべきは、製造に「合成CBD」が使用されていたことです。ウェルネスデイリーニュースの報道によると、製造業者のタンポポ産業株式会社は「バランスド社から支給された合成のCBDを使用した」と説明しています。バランスド社側は「非大麻由来で純度の高い有機化学合成のCBDを使用している」と述べており、大麻草から抽出した原料ではなく化学合成品を原料としていたことが分かっています。合成CBDであっても、製造過程でTHCが副生成物として混入する可能性が指摘されており、この点が基準超過の一因となった可能性があります。

なお、同製品はすでに賞味期限(2025年7月)を過ぎており、発表時点で市場には流通していなかったとされています。また東京都の発表時点で、同製品の摂取による健康被害の報告もありませんでした。厚生労働省は第2報として改めて注意喚起を行い、手元に同製品が残っている場合は最寄りの麻薬取締部または都道府県の薬務主管課に連絡するよう呼びかけています。

2つの事例から見える構造的な問題

福岡と東京の2つの事例を並べてみると、いくつかの構造的な課題が浮かび上がります。

まず、行政の検査体制は「買い上げ調査」に依存しているという点です。いずれの事例も、自治体が市場から製品を購入して事後的に検査することで初めて違反が発覚しました。現状では、CBD製品の販売前に第三者による成分検査が法的に義務づけられているわけではないため、基準超過の製品が消費者の手に渡ってから問題が判明するという構図になっています。

次に、製品区分によって基準値が100倍異なることの影響です。油脂・粉末の10ppmに対して、水溶液は0.1ppmと非常に厳格であり、同じ原料を使用していても製品形態によって合法・違法の判定が変わりうるという状況があります。東京都の事例では水溶液の厳しい基準が適用されたことで、比較的微量のTHC混入でも違反と判定されました。

さらに、合成CBD原料の品質管理という新たな論点も浮上しています。東京都の事例では合成CBDが使用されていたことが判明しており、大麻草由来の製品だけでなく、化学合成品についても原料段階でのTHC管理が問われています。改正法は「大麻由来であるか否かにかかわらず」基準超過のΔ9-THCを含む製品を規制対象としているため、合成品だから安全というわけではありません。

消費者の自衛策:COAの見方と確認ポイント

現時点では行政の買い上げ調査だけでは全製品をカバーしきれない以上、消費者自身が購入前に製品の安全性を確認する姿勢が不可欠です。最も有効な確認手段がCOA(Certificate of Analysis:成分分析証明書)です。COAは第三者検査機関が発行する分析レポートで、製品に含まれるカンナビノイドの濃度や有害物質の有無が記載されています。

COAを確認する際に押さえるべきポイントは5つあります。

第一に、COAが公開されているかどうかそのものが最初の判断基準です。信頼できるCBD事業者は、自社ウェブサイトやパッケージのQRコードを通じてCOAを公開しています。COAが確認できない製品は、それだけで購入を避ける理由になります。

第二に、ロット番号の一致を確認しましょう。パッケージに印字されたロット番号と、COAに記載されたロット番号が同一であることを確かめてください。ロット番号が異なるCOAは、手元の製品の検査結果ではない可能性があります。製品ごとに成分組成は微妙に異なるため、ロット単位での照合が重要です。

第三に、Δ9-THCの検査結果を確認します。COA上でΔ9-THCの欄が「ND(Not Detected=検出されず)」となっているか、あるいは日本の残留限度値を下回っているかを確かめます。自分の製品がどの区分(油脂・粉末=10ppm、水溶液=0.1ppm、その他=1ppm)に該当するかを把握しておくことも大切です。なお「ND」は検出限界以下という意味であり、完全にゼロであるとは限りません。

第四に、検査機関の信頼性を確認します。ISO 17025(試験所および校正機関の能力に関する国際規格)の認定を受けた第三者機関による検査が望ましいとされています。事業者自身が実施した検査よりも、独立した第三者機関の結果のほうが客観性が高いといえます。

第五に、検査日が直近であるかを確認します。古い検査結果は、現在販売されている製品の品質を保証するものではありません。可能であれば、製造日や賞味期限と整合性のある検査日のCOAを探してください。

違反製品を所持していた場合の対応

もし手元に「CBD EAST GUMMIES いちご味」または「ピローCBDナイトドリンク」がある場合、あるいは購入したCBD製品の安全性に不安がある場合は、以下の対応が推奨されています。

厚生労働省は、該当製品を所持している場合は「最寄りの地方厚生(支)局麻薬取締部」または「都道府県衛生主管部(局)薬務主管課」に連絡するよう呼びかけています。自己判断で廃棄するのではなく、行政機関に相談して適切な手続きを取ることが重要です。改正法のもとでは、基準超過のTHCを含む製品の所持自体が法的リスクをはらんでいるため、速やかな対応が望ましいでしょう。

また、摂取を続けている方は直ちに使用を中止し、体調に異変を感じた場合は医療機関を受診してください。なお、両事例とも発表時点で健康被害の報告はありませんが、THCには精神活性作用があるため、基準超過の製品を継続的に摂取していた場合は注意が必要です。

改正大麻取締法のもとでは「大麻使用罪」も新設されており、基準超過のTHCを含む製品の使用は処罰対象となりえます。消費者が知らずに違反製品を購入していたケースについて、現時点で使用者側の摘発事例は報告されていませんが、法的なリスクを認識しておくことは重要です。

FAQ

買い上げ調査とは何ですか?
都道府県の薬務課などが、市場で実際に販売されている製品を購入し、成分検査を行う調査手法です。消費者が購入するのと同じ条件で製品を入手するため、実際に流通している製品の品質を確認できるメリットがあります。2025年に福岡県と東京都がそれぞれCBD製品に対してこの調査を実施し、THC残留限度値の超過を発見しました。
自分が使っているCBD製品が安全かどうか、どう確認すればよいですか?
まず販売元のウェブサイトやパッケージからCOA(成分分析証明書)を確認してください。COAのΔ9-THC欄が「ND(検出されず)」または残留限度値以下であること、ロット番号が製品と一致していること、ISO 17025認定の第三者機関による検査であることを確かめましょう。COAが公開されていない製品は使用を控えることを推奨します。詳しくはCOA(成分分析証明書)の解説記事をご覧ください。
合成CBDは天然CBDより危険なのですか?
合成CBDそのものが天然CBDより危険というわけではありません。ただし、東京都の事例では合成CBD原料からTHCが検出されており、製造工程での副生成物として意図しないTHCが混入するリスクがあることが示されました。天然・合成を問わず、第三者検査機関によるCOAで成分を確認することが重要です。
違反製品を知らずに購入・使用していた場合、逮捕されますか?
改正法のもとでは、THC残留限度値を超える製品の所持・使用は規制対象です。ただし、現時点で消費者側が知らずに購入した違反製品について摘発されたケースは報告されていません。手元に該当製品がある場合は、最寄りの麻薬取締部または都道府県薬務課に連絡して適切な対応を相談してください。
水溶液の基準(0.1ppm)だけ特に厳しいのはなぜですか?
水溶液は体内での吸収効率が高いため、同じTHC濃度でも油脂や固形物と比べて体内に取り込まれやすいとされています。そのため、油脂・粉末(10ppm)やその他製品(1ppm)と比較して、100倍から10倍厳しい基準が設定されています。東京都のピローCBDナイトドリンクの事例は、まさにこの厳格な水溶液基準が適用された典型例です。

まとめ

2024年12月の改正大麻取締法施行により導入されたTHC残留限度値制度は、CBD市場に明確な安全基準をもたらしました。しかし、施行後1年以内に福岡県と東京都でそれぞれ基準超過の製品が発見されたことは、制度の運用と市場の現実の間にまだギャップがあることを示しています。

消費者として最も重要なのは、「CBD製品だから安全」と盲信せず、COA(成分分析証明書)を自ら確認する習慣を持つことです。ロット番号の照合、Δ9-THC値の確認、検査機関の信頼性チェックという3つのステップを実践するだけでも、リスクを大きく低減できます。

行政による買い上げ調査は今後も各自治体で継続されると見られ、新たな違反事例が公表される可能性もあります。THC残留限度値の詳細な制度解説CBD製品の購入者ガイドも併せて確認し、正しい知識に基づいた製品選びを心がけてください。

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