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米国大麻スケジュール変更 2026年最新動向|公聴会延期と今後のシナリオ

ASA Media編集部
8分
米国大麻スケジュール変更 2026年最新動向|公聴会延期と今後のシナリオ

この記事のポイント

✓ 2025年12月のトランプ大統領令後も、DEA公聴会は延期され審議は停滞中

✓ 43,000件のパブリックコメント審査と法的異議申し立てが主な障壁

✓ 2026年後半の最終決定が最も現実的なシナリオ

2025年12月18日にトランプ大統領が署名した大麻スケジュールIII再分類の大統領令から約3週間が経過しました。しかし、期待された迅速な進展は実現しておらず、2025年1月21日に予定されていたDEA公聴会は延期となりました。本記事では、2026年1月時点での最新動向を整理し、今後の見通しを詳しく分析します。米国の大麻政策は歴史的な転換点を迎えつつありますが、その道のりは依然として複雑な様相を呈しています。

背景:大統領令署名から現在まで

米国における大麻の法的位置づけは、長年にわたり議論の的となってきました。現在、大麻は連邦法上「スケジュールI」に分類されており、これはヘロインやLSDと同じカテゴリーに位置づけられていることを意味します。スケジュールIとは、医療用途がなく乱用の危険性が高いとされる薬物の分類であり、この分類が大麻研究や医療利用の大きな障壁となってきました。

2023年8月、保健福祉省(HHS)がDEAに対してスケジュールIIIへの変更を勧告したことで、再分類の議論が本格化しました。スケジュールIIIは、コデインやケタミンなど、医療用途が認められた薬物が含まれる分類です。この勧告を受けて、2024年5月には司法省とDEAが正式な規則案を公表し、パブリックコメントの募集が開始されました。

2023年8月

保健福祉省(HHS)がDEAに対しスケジュールIII変更を勧告

2024年5月

DOJ/DEAが正式な規則案を公表

パブリックコメント募集開始(43,000件が寄せられる)

2025年12月18日

トランプ大統領が再分類迅速化の大統領令に署名

メディケアCBDパイロットプログラムも発表

2026年1月13日

行政法判事が1月21日予定の公聴会延期を発表

手続き上の異議申し立てにより審議が一時停止

トランプ大統領の大統領令は「最も迅速な方法で」再分類を進めるよう指示するものでしたが、実際のプロセスは法的手続きに縛られています。大統領令はDEAに対する「指示」であり、スケジュール変更には正式な規則制定手続きが必要です。公聴会の延期は、この法的プロセスの複雑さを如実に示しています。

詳細:公聴会延期とDEAの課題

2025年1月13日、行政法判事はDEA公聴会の延期を発表しました。当初1月21日に開始予定だったこの公聴会は、大麻産業の一部事業者から提起された法的異議によって停止を余儀なくされました。これは大統領令の「迅速化」という意図と真っ向から対立する事態であり、業界関係者からは落胆の声が上がっています。

延期の直接的な原因は、規則制定プロセスに関する手続き上の異議申し立てです。一部の事業者が、DEAの規則案の策定過程に問題があると主張し、その審理が完了するまで公聴会を進めることができなくなりました。この法的ハードルがいつ解消されるかは現時点で不透明です。

DEAが直面しているもう一つの大きな課題は、2024年5月の規則案に対して寄せられた記録的な43,000件のパブリックコメントの審査です。これらすべてを精査し、最終規則に反映する作業には膨大な時間と労力が必要です。寄せられた意見は賛否両論に分かれており、賛成派は医療研究の促進や税負担軽減を支持する一方、反対派は安全性への懸念や連邦法と州法の不整合を指摘しています。また、条件付き賛成として、より厳格な品質管理や広告規制の維持を求める声も少なくありません。

法的課題は異議申し立てだけにとどまりません。最終規則が公布された後も、それに対して訴訟が提起されるリスクがあります。さらに、一部の議員からは再分類そのものへの反対意見が表明されており、議会からの介入の可能性も完全には排除できません。これらの複合的な要因が、スケジュールIII移行の道のりを不確実なものにしています。

影響:スケジュールIII移行で何が変わるか

スケジュールIII移行が実現した場合、米国の大麻産業には即座に変化が生じる部分と、変わらない部分があります。この違いを正確に理解することは、今後の動向を見極める上で重要です。

項目スケジュールI(現行)スケジュールIII(移行後)
税制(280E条)通常の経費控除が不可通常の経費控除が可能に
研究規制厳格な許可要件許可取得が容易に
金融アクセス銀行取引が困難銀行との取引が改善見込み
広告規制多くのプラットフォームで禁止制限緩和の可能性

最も大きな影響を受けるのは税制面です。現行の連邦税法280E条は、スケジュールIまたはIIに分類される薬物を扱う事業者に対し、通常の経費控除を認めていません。スケジュールIIIへの移行により、大麻事業者は他の業種と同様に経費を控除できるようになり、税負担が大幅に軽減されると期待されています。

研究分野においても重要な変化が見込まれます。スケジュールI薬物の研究には非常に厳格な許可要件があり、これが大麻の医学的効果に関する研究を阻害してきました。スケジュールIIIへの移行により、研究許可の取得が容易になり、CBDやその他のカンナビノイドに関する科学的研究が加速する可能性があります。

議会調査局(CRS)の報告によると、広告規制の緩和も期待されています。現在、多くのメディアプラットフォームはスケジュールI薬物の広告を禁止していますが、スケジュールIII薬物には同様の制限が適用されない可能性があります。

📌 変わらないこと

嗜好用合法化:スケジュールIII移行は医療用途の容認であり、連邦レベルでの嗜好用合法化ではありません

州法との関係:各州独自の大麻規制は引き続き適用されます

運輸業界の薬物検査:DOTの検査義務については現在も議論中であり、即座の変更は見込まれていません

重要な点として、スケジュールIII移行は連邦レベルでの嗜好用大麻合法化を意味するものではありません。各州の規制は引き続き適用され、現在大麻が違法な州ではその状況は変わりません。また、運輸業界における薬物検査の義務についても、現時点では議論が続いており、即座の変更は期待できません。

今後の展望:2026年のシナリオ分析

2026年の大麻政策がどのように展開するかについて、複数のシナリオが考えられます。業界関係者の見方は楽観的なものから慎重なものまで分かれていますが、現実的な分析に基づいて今後の見通しを整理します。

楽観的なシナリオとしては、2026年前半に最終決定に至る可能性があります。このシナリオでは、現在審理中の異議申し立てが迅速に解決し、DEAが4月から6月の間に最終規則を公布、夏から秋にかけて施行が開始されることになります。Cannabis Business Timesの調査によると、業界の65%以上がこのような2026年中の最終決定を予測しています。

しかし、法律専門家からはより慎重な見方も示されています。中間的なシナリオでは、公聴会が春から夏にかけて実施され、最終規則の公布は秋から冬にずれ込み、実際の施行は2027年初頭になるという見通しです。National Law Reviewの分析では「2026年に実質的な進展があることは確実だが、完全な移行は2027年にずれ込む可能性もある」と指摘されています。

最も悲観的なシナリオは、最終規則に対して訴訟が提起され、裁判所が差止命令を発令するケースです。この場合、実質的な移行は2027年以降に持ち越されることになります。現時点では、中間的なシナリオ、つまり2026年後半に最終決定がなされ2027年初頭に施行されるという見通しが最も可能性が高いと考えられています。

一方、メディケアCBDパイロットプログラムについては、スケジュール再分類とは別のプログラムとして進行しており、2026年4月1日の開始予定に変更はありません。メフメット・オズCMS長官が発表したこのプログラムでは、メディケア加入者に対して年間最大500ドルのCBD製品購入補助が提供される予定です。民間保険会社も積極的に参加を表明しており、3,400万人のメディケア・アドバンテージ加入者がプログラムの対象となる可能性があります。

FAQ

Q1: 公聴会はいつ再開されますか?

現時点で具体的な日程は発表されていません。手続き上の異議申し立てが解決され次第、新たな日程が設定される見込みです。法的プロセスの性質上、数週間から数ヶ月かかる可能性があります。

Q2: 大統領令だけでスケジュール変更はできないのですか?

いいえ、大統領令だけでは変更できません。大統領令はDEAに対する「指示」であり、実際のスケジュール変更には正式な規則制定手続きが必要です。これには公聴会の実施、パブリックコメントの審査、最終規則の公布といったプロセスが含まれます。

Q3: メディケアCBDプログラムは予定通り始まりますか?

現時点では2026年4月1日開始予定に変更はありません。このプログラムはスケジュール再分類とは別のイニシアチブとして進められており、メディケア加入者に年間最大500ドルのCBD製品購入補助を提供する予定です。

Q4: 日本への影響はありますか?

直接的な法的影響はありませんが、米国での研究規制緩和が進めば、大麻由来医薬品の開発が加速する可能性があります。これにより、日本で承認を目指す医薬品の開発が促進され、間接的に日本の医療選択肢が広がることが期待されます。

まとめ

📝 この記事のまとめ

トランプ大統領の大統領令は署名済みだが、DEAの規則制定プロセスは法的障壁により停滞中

2025年1月21日予定の公聴会は延期され、43,000件の意見書審査と異議申し立ての解決が必要

2026年後半の最終決定、2027年初頭の施行が最も現実的なシナリオ

メディケアCBDプログラムは2026年4月開始予定で変更なし

米国の大麻政策は歴史的な転換点を迎えつつありますが、その道のりは依然として複雑です。本サイトでは引き続き、米国大麻政策の動向をフォローしていきます。


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参考文献

[1]
Marijuana rescheduling would bring some immediate changes, but others will take time
NPR、2025年12月26日
[2]
Trump signs executive order fast-tracking reclassification of marijuana
NBC News、2025年12月18日
[3]
Federal Marijuana Rescheduling Would Ease Restrictions on Advertising
Marijuana Moment、2026年1月3日
[5]
2026 Cannabis Predictions: It's Deja Vu All Over Again?
National Law Review、2026年1月3日
[6]
Industry Stakeholders, Experts React to Trump's Schedule III Cannabis Order
Cannabis Business Times、2025年12月19日

免責事項: この記事は情報提供を目的としており、法的アドバイスの代わりにはなりません。米国の大麻規制は連邦法と州法で異なり、頻繁に変更されます。最新の情報は公式情報源でご確認ください。

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