CBG(カンナビゲロール)とは?効果・CBDとの違いを徹底解説

**CBG(カンナビゲロール / Cannabigerol)**は、大麻草に含まれるカンナビノイドの一種で、「カンナビノイドの母」または「幹細胞カンナビノイド」と呼ばれる重要な成分です。
CBGは、**CBD(カンナビジオール)やTHC(テトラヒドロカンナビノール)など、他のカンナビノイドの前駆体(元となる物質)**であり、大麻草の成長過程で他のカンナビノイドに変換されていきます。そのため、成熟した大麻草には通常1%未満しか含まれていません。
近年、CBGの独自の効果が注目され、抗炎症作用、神経保護作用、抗菌作用などの研究が進められています。
CBGは他のカンナビノイド(CBD、THC)の前駆体となる「カンナビノイドの母」
非精神活性で、CB1/CB2受容体への親和性が高く直接的な作用が期待される
抗炎症、神経保護、抗菌作用などの研究が進んでいるが臨床試験はまだ少数
成熟大麻草には1%未満しか含まれないため、CBDより2-3倍高価
日本では合法で、CBD同様に大麻取締法の規制対象外
目次
CBGの基本情報
正式名称
英語: Cannabigerol(カンナビゲロール)
略称: CBG
化学式: C21H32O2
発見の歴史
イスラエルの科学者ラファエル・メコーラム博士らによってCBGが単離・発見
同年にTHCも発見されたが、当初はTHCの研究が優先され、CBGの研究は後回しに
カンナビノイド研究の進展に伴い、CBGの独自の効果が注目されるように
抗炎症、神経保護、抗菌作用などの研究が活発化
存在量
成熟した大麻草
1%未満
CBGの大部分がCBD、THC、CBCなどに変換されるため
早期収穫の大麻草
5-10%
変換前に収穫
高CBG品種
15-20%
遺伝子操作により開発
CBGの特徴:「カンナビノイドの母」とは?
CBGAからの変換プロセス
CBGは、他のカンナビノイドとは異なる特別な性質を持っています。大麻草が成長する過程で、CBGの酸性前駆体である**CBGA(カンナビゲロール酸)**が最初に生成されます。このCBGAが、植物に存在する特定の酵素によって、THCAやCBDA、CBCAといった他のカンナビノイド酸に変換されていきます。
具体的には、THCAは加熱によってTHCに、CBDAは加熱によってCBDに、CBCAは加熱によってCBCに変換されます。そして、これらのカンナビノイドに変換されなかったわずかなCBGAが、最終的に加熱によってCBGとして残存します。このように、CBGAはすべてのカンナビノイドの「出発点」となる物質なのです。
なぜ「母」と呼ばれるのか?
CBGが「カンナビノイドの母」と呼ばれる理由は、まさにこの変換プロセスにあります。CBGは他のカンナビノイド(THC、CBD、CBCなど)の原料となる存在であり、大麻草のカンナビノイド生合成の起点となっているのです。
この特性を活かして、現在では様々な栽培技術や品種改良が進められています。例えば、CBGが他のカンナビノイドに変換される前の早期段階で収穫する方法や、CBGAからCBDやTHCへの変換を遺伝子的に抑制した品種の開発などが行われています。その結果、近年ではCBG含有量が15-20%に達する高CBG品種も登場しており、CBG製品の供給が徐々に増えつつあります。

CBGの効果・作用メカニズム
CBGは、CBD同様に非精神活性(ハイにならない)のカンナビノイドです。
作用メカニズム
CBGは、**エンドカンナビノイドシステム(ECS)**に以下の方法で作用します:
| 受容体 | 作用 | 効果 |
|---|---|---|
| CB1受容体 | 部分的アゴニスト | 神経保護、食欲増進 |
| CB2受容体 | 部分的アゴニスト | 抗炎症、免疫調整 |
| α2アドレナリン受容体 | アゴニスト | 血圧調整 |
| 5-HT1A受容体 | アンタゴニスト | 抗うつ、抗不安 |
| TRPV1受容体 | アゴニスト | 痛み調整 |
CBDよりもCB1/CB2受容体への親和性が高いため、より直接的な作用が期待されています。
期待される効果
1. 抗炎症作用
炎症性サイトカインの産生を抑制し、炎症性腸疾患(IBD)やクローン病への応用が研究されています。
2. 神経保護作用
神経細胞の酸化ストレスを軽減し、ハンチントン病やパーキンソン病などの神経変性疾患への可能性が示唆されています。
3. 抗菌作用
特に**MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)**に対する強力な抗菌作用が確認されています(2008年の研究)。
4. 緑内障治療
眼圧を低下させる作用があり、緑内障治療への応用が研究されています。
5. 抗がん作用
結腸がん細胞の増殖を抑制する効果が動物実験で確認されています(2014年の研究)。
6. 食欲増進
THCのような精神活性なしに食欲を増進させる効果が報告されています。
CBGとCBDの違い
| 項目 | CBG | CBD |
|---|---|---|
| 正式名称 | カンナビゲロール | カンナビジオール |
| 精神活性 | なし | なし |
| 含有量 | 1%未満 | 5-20% |
| CB1受容体 | 部分的アゴニスト | 間接的作用 |
| CB2受容体 | 部分的アゴニスト | 間接的作用 |
| 主な研究領域 | 神経保護、抗菌、緑内障 | 抗不安、抗炎症、てんかん |
| 製品価格 | 高価 | 比較的安価 |
| 研究進捗 | 初期段階 | 臨床試験段階 |
相乗効果(アントラージュ効果)
CBGと**CBDを併用すると、アントラージュ効果**(相乗効果)が得られる可能性があります:
CBGがCB1/CB2受容体に直接作用
CBDが間接的に作用を増強
相互作用により効果が最大化
実際、多くの**CBD**製品には微量のCBGが含まれており、相乗効果が期待されています。

CBGの研究状況
主要な研究成果
1. 炎症性腸疾患(IBD)への効果(2013年)
研究内容: イタリアの研究チームが、マウス実験でCBGが大腸炎を軽減することを確認
論文: "Beneficial effect of the non-psychotropic plant cannabinoid cannabigerol on experimental inflammatory bowel disease"
出典: Biochemical Pharmacology, 2013
2. MRSA(薬剤耐性菌)への抗菌作用(2008年)
研究内容: CBGが抗生物質耐性菌に対して強力な抗菌作用を示すことが確認
論文: "Antibacterial cannabinoids from Cannabis sativa"
出典: Journal of Natural Products, 2008
3. ハンチントン病への神経保護作用(2015年)
研究内容: スペインの研究で、CBGがハンチントン病マウスモデルで神経保護作用を示す
論文: "Neuroprotective properties of cannabigerol in Huntington's disease"
出典: Neurotherapeutics, 2015
4. 緑内障への眼圧低下効果(1990年代)
研究内容: CBGが眼圧を低下させることが確認され、緑内障治療への可能性が示される
5. 抗がん作用(2014年)
研究内容: 結腸がん細胞の増殖をCBGが抑制することが実験で確認
論文: "Colon carcinogenesis is inhibited by the TRPM8 antagonist cannabigerol"
出典: Carcinogenesis, 2014
研究の課題
臨床試験の不足: 動物実験が中心で、ヒト臨床試験はまだ少数
高コスト: CBGの抽出・精製には高いコストがかかる
データ蓄積: CBDやTHCに比べて研究データが少ない
CBG製品の現状と課題
製品の種類
CBGオイル: 経口摂取用のオイル製品
CBG+CBD製品: CBGとCBDを配合した製品
フルスペクトラム製品: CBGを含む複数のカンナビノイドを含有
価格が高い理由
CBG製品が高価な理由は以下の通りです:
含有量が少ない: 成熟大麻草には1%未満
早期収穫が必要: CBGが変換される前に収穫
大量の原料: 少量のCBGを得るために大量の大麻草が必要
専用品種: 高CBG品種の栽培コストが高い
CBDオイルの2-3倍の価格が一般的です。
今後の展望
高CBG品種: 遺伝子操作により15-20%のCBG含有品種が開発中
価格低下: 生産効率化により価格が下がる見込み
研究加速: 臨床試験の増加により効果が明確化

日本におけるCBGの法的位置づけ
合法性
CBGは、CBD同様に日本で合法です。
根拠:
大麻取締法: 大麻草の「成熟した茎」と「種子」由来の成分は規制対象外
精神活性なし: CBGは非精神活性で、THCのような効果はない
麻薬指定なし: CBGは麻薬及び向精神薬取締法の規制対象外
購入時の注意点
THC含有量: 検出限界以下(ND: Not Detected)であることを確認
成分分析書: 第三者機関による成分分析結果を確認
原料の由来: 成熟した茎・種子由来であることを確認
信頼できる販売元: 正規輸入代理店または国内製造業者から購入
よくある質問(FAQ)
CBGは日本で合法ですか?
はい、合法です。CBGはCBD同様、大麻草の成熟した茎・種子由来であれば大麻取締法の規制対象外です。精神活性もなく、麻薬指定もされていません。ただし、THCが検出限界以下(ND)であることを確認した製品を選びましょう。
CBGとCBDはどちらが効果的ですか?
目的により異なります。CBGはCB1/CB2受容体への親和性が高く、より直接的な作用が期待されますが、研究はまだ初期段階です。CBDは臨床試験データが豊富で、抗不安やてんかんへの効果が確立されています。併用することで相乗効果(アントラージュ効果)が得られる可能性があります。
CBG製品はなぜ高価なのですか?
成熟した大麻草には1%未満しか含まれないため、大量の原料が必要です。また、CBGが他のカンナビノイドに変換される前に収穫する必要があるため、生産コストが高くなります。CBD製品の2-3倍の価格が一般的ですが、高CBG品種の開発により将来的に価格が下がる見込みです。
まとめ
この記事では、CBG(カンナビゲロール)について解説しました。CBGは「カンナビノイドの母」と呼ばれ、CBD、THCなど他のカンナビノイドの前駆体となる重要な成分です。
非精神活性で、CB1/CB2受容体への親和性が高く直接的な作用が期待される
抗炎症、神経保護、抗菌作用などの研究が進んでいるが臨床試験はまだ少数
成熟大麻草には1%未満しか含まれないため、CBDより2-3倍高価
日本では合法で、CBD同様に大麻取締法の規制対象外
CBGは、CBD市場の次の注目成分として期待されています。高CBG品種の開発や研究の進展により、将来的には価格の低下や医療応用の明確化が見込まれます。信頼できる情報源を参考にしながら、自分に合った製品を見つけていきましょう。
参考文献
本記事は以下の信頼できる情報源に基づいて執筆されています。


