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エピディオレックス日本承認はいつ?2024年臨床試験失敗から2026年現在の最新状況

ASA Media編集部
8分
エピディオレックス日本承認はいつ?2024年臨床試験失敗から2026年現在の最新状況

難治性てんかんの治療薬として世界的に注目されるCBD医薬品「エピディオレックス(Epidiolex)」。米国FDAでは2018年に承認され、欧州でも使用されていますが、日本ではいまだ承認されていません。2024年8月には日本での第3相臨床試験が主要評価項目を達成できず、承認への道のりはさらに不透明になっています。本記事では、2026年1月時点の最新状況と今後の見通しを解説します。


目次


現状サマリー:2026年1月時点

項目状況
日本での承認未承認
承認申請未提出
臨床試験結果2024年8月に主要評価項目未達
希少疾病用医薬品指定2024年4月に指定済み(国内初の大麻草由来)
法的枠組み2024年12月の法改正で承認されれば使用可能
今後の見通し不透明(Jazz社は規制当局と協議継続)

2024年8月:日本での臨床試験が主要評価項目未達

2024年8月22日、エピディオレックスの開発元であるジャズ・ファーマシューティカルズ(Jazz Pharmaceuticals)は、日本で実施していた第3相臨床試験の結果を発表しました。

結果は厳しいものでした。主要評価項目を達成できなかったのです。

具体的には、治療期間(最大16週間)における発作頻度のベースラインからの変化率が、事前に設定された基準を満たしませんでした。ただし、数値的な改善は観察されており、新たな安全性の懸念は認められなかったとしています。

この結果を受け、日本での承認申請(JNDA:Japan New Drug Application)の見通しは不透明な状況が続いています。


臨床試験の詳細

試験デザイン

項目内容
試験開始2022年12月
試験デザインオープンラベル、単群試験
対象患者1-18歳の小児・青年 62名
対象疾患ドラベ症候群(DS)、レノックス・ガストー症候群(LGS)、結節性硬化症(TSC)
実施施設全国21カ所の医療機関
治療期間最大16週間(2週間の漸増期間+14週間の維持期間)
安全性評価最大52週間

主要評価項目

「治療期間中の疾患関連発作頻度のベースラインからの変化率」が主要評価項目として設定されました。

この評価項目は、海外で実施された第3相試験と同様の指標ですが、日本の試験では事前に設定された基準を達成できませんでした。

なぜ日本の試験は失敗したのか

日本での臨床試験が主要評価項目を達成できなかった理由について、公式な説明は限定的です。しかし、いくつかの要因が指摘されています。

試験デザインの特殊性

日本の試験はオープンラベル・単群試験でした。これは、すべての患者がエピディオレックスを投与され、プラセボ群(偽薬群)がない試験デザインです。

海外で承認を得た試験はランダム化二重盲検プラセボ対照試験(RCT)であり、より厳格な試験デザインでした。単群試験ではプラセボ効果との比較ができないため、効果の評価が難しくなる場合があります。

患者数の少なさ

日本の試験は62名と比較的少人数でした。海外の5つの第3相試験では合計900名以上が参加しており、統計的な検出力に差があった可能性があります。

評価基準の厳格さ

「事前に定められた変化率」という主要評価項目の基準が、日本の患者集団では達成が難しいものだった可能性も考えられます。

海外での実績との比較

エピディオレックスは海外では確固たる実績があります。

FDA承認の根拠となった臨床試験

試験対象疾患患者数発作減少率統計的有意性
GWPCARE1ドラベ症候群120名39%減少(プラセボ群:13%)p < 0.01
GWPCARE3レノックス・ガストー症候群171名44%減少(プラセボ群:22%)p < 0.01
GWPCARE4レノックス・ガストー症候群225名42%減少(プラセボ群:17%)p < 0.01

商業的成功

エピディオレックスはJazz社の主力製品として成長を続けています。

  • 2023年売上: 約8.45億ドル(約1,200億円)
  • 2024年Q2売上: 2.47億ドル(前年同期比22%増)
  • 適応症拡大: ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、結節性硬化症

法的枠組み:使えるのに使えない状況

日本では、2024年12月12日に改正大麻取締法が施行され、大麻由来医薬品の使用が法的に可能になりました。

しかし、この法改正は「承認された医薬品」の使用を認めるものです。エピディオレックスは日本で承認されていないため、法改正後も使用できない状況が続いています。

希少疾病用医薬品指定

2024年4月、厚生労働省はエピディオレックス(カンナビジオール)を**希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)**に指定しました。これは国内で大麻草由来の医薬品が指定されたのは初めてのことです。

この指定により、承認審査の優先対応や税制優遇などのメリットがありますが、承認申請がなければ意味がありません。


今後の見通し

Jazz社の姿勢

Jazz社は臨床試験の失敗後も、日本市場への関心を維持しています。同社は以下のように表明しています。

  • 日本人患者のデータ収集を継続
  • 日本の規制当局との協議を継続
  • 将来的な承認申請(JNDA)の可能性を検討

ただし、具体的なスケジュールは明らかにされていません。

考えられるシナリオ

シナリオ1:追加試験の実施 新たな臨床試験を実施し、再度承認申請を目指す。ただし、数年単位の時間がかかる可能性があります。

シナリオ2:既存データでの申請 海外の臨床試験データと日本の試験データを組み合わせて申請を試みる。規制当局との協議次第です。

シナリオ3:申請断念 日本市場への参入を断念する可能性もゼロではありません。

厚生労働省の見解

厚生労働省も日本での臨床試験の失敗を認識しています。今後の対応については、製薬企業の動向を注視している状況です。

患者・家族ができること

現時点でできること

  1. 主治医との相談: 現在利用可能な治療オプションについて、主治医と十分に相談してください。

  2. 患者団体への参加: 日本てんかん協会などの患者団体に参加し、最新情報を入手するとともに、要望活動に参加することができます。

  3. 情報収集: 本サイトや信頼できる情報源から、最新の動向を把握してください。

注意点

市販のCBD製品は医薬品ではありません。 てんかんの治療目的で市販のCBDオイルやCBDグミを使用することは推奨されません。医薬品グレードのエピディオレックスとは純度・品質が異なり、効果や安全性が保証されていません。


FAQ

Q1: エピディオレックスは日本でいつ承認されますか?

A: 現時点では不明です。2024年8月の臨床試験で主要評価項目を達成できなかったため、承認申請のスケジュールは決まっていません。Jazz社は規制当局との協議を継続していますが、具体的な見通しは公表されていません。

Q2: 日本の臨床試験は完全に失敗だったのですか?

A: 主要評価項目は達成できませんでしたが、数値的な改善は観察されており、新たな安全性の懸念は認められませんでした。「完全な失敗」とは言い切れませんが、承認申請に直接つながる結果ではありませんでした。

Q3: 市販のCBDオイルでてんかんを治療できますか?

A: 推奨されません。 市販のCBD製品は健康食品・サプリメントであり、医薬品ではありません。エピディオレックスのような医薬品グレードの純度・品質が保証されておらず、てんかん治療には適していません。必ず医師の指導のもとで治療を受けてください。

Q4: 海外でエピディオレックスを入手することはできますか?

A: 法的・医学的に複雑な問題があります。個人輸入には厳格な規制があり、THCを含む可能性のある製品の輸入は違法となる場合があります。必ず医師や専門家に相談してください。

Q5: 法改正で何が変わりましたか?

A: 2024年12月12日の改正大麻取締法により、承認された大麻由来医薬品の使用が法的に可能になりました。しかし、エピディオレックスは日本で承認されていないため、この法改正のメリットを享受できていない状況です。


まとめ

エピディオレックスの日本承認は、2024年8月の臨床試験結果を受けて不透明な状況が続いています。

  • 2024年8月: 日本での第3相臨床試験が主要評価項目未達
  • 2024年12月: 法改正により承認されれば使用可能に(ただし未承認)
  • 2026年1月現在: 承認申請なし、見通し不明

難治性てんかんの患者・家族にとっては厳しい状況ですが、Jazz社は日本市場への関心を維持しており、今後の動向を注視する必要があります。

本サイトでは引き続き、エピディオレックスを含む医療大麻関連の最新情報をお届けします。


医療免責事項: この記事は情報提供を目的としており、医学的アドバイスの代わりにはなりません。てんかんの症状がある場合は、必ず医療専門家にご相談ください。市販のCBD製品を医療目的で使用することは推奨されません。

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