メインコンテンツへスキップ

トランプ大統領が大麻規制緩和へ―スケジュールIII再分類の大統領令に署名予定

THE ASA MEDIA編集部
6分
トランプ大統領が大麻規制緩和へ―スケジュールIII再分類の大統領令に署名予定

この記事のポイント

✓ トランプ大統領が大麻をスケジュールIIIに再分類する大統領令に署名予定

✓ 大麻株は50%以上急騰、業界に大きな税制優遇が期待される

✓ 連邦レベルでの完全合法化ではないが、歴史的な政策転換

2025年12月、米国の大麻政策は歴史的な転換点を迎えようとしています。トランプ大統領は早ければ12月15日(月曜日)にも、大麻をスケジュールIII(医療用途があり、乱用の危険性が比較的低いとされる分類)に再分類する大統領令に署名する見込みです。この動きにより、大麻関連株は急騰し、業界は連邦税制の大幅な改善を期待しています。ただし、これは連邦レベルでの完全合法化を意味するものではありません。

背景

米国では長年、大麻は連邦法の下でスケジュールI(医療用途がなく、乱用の危険性が最も高いとされる分類)に指定されてきました。これはヘロインと同じ分類であり、大麻業界にとって大きな障壁となっていました。特に深刻なのが、内国歳入法第280E条(IRC 280E)の問題です。この条項により、スケジュールI・II薬物を扱う事業者は通常の事業経費を税控除できず、実効税率が極めて高くなっていました。

2022年10月

バイデン大統領が大麻の分類見直しを指示

保健福祉省(HHS)に科学的評価を要請

2024年5月

司法省がスケジュールIIIへの移行を提案

42,000件以上のパブリックコメントを受領

2024年12月2日

DEAが再分類に関する公聴会を開始

2025年1-3月に証人尋問を予定

2025年12月12日(現在)

トランプ大統領が大統領令への署名を準備

大麻株が急騰

バイデン前政権下で始まった再分類プロセスは、DEA(麻薬取締局)の公聴会を経て進行していました。しかし、トランプ大統領は大統領令によってこのプロセスを加速させようとしています。これは米国の大麻政策における数十年ぶりの大転換となる可能性があります。

ホワイトハウス会議の詳細

2025年12月10日、ホワイトハウスの大統領執務室で重要な会議が開催されました。この会議には、保健福祉長官のロバート・F・ケネディ・Jr.(RFK Jr.)、メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)長官のメフメット・オズ(通称「ドクター・オズ」)が出席しました。トランプ大統領はマイク・ジョンソン下院議長に電話で参加を求めましたが、ジョンソン議長は再分類に反対の立場を表明しています。

ホワイトハウスでの会議では、大麻業界幹部も招かれた

大麻業界からは、米国最大の大麻事業者であるTrulieve Cannabis Corp.のキム・リバースCEOと、大麻支持団体「The Commonwealth Project」の創設者でマール・ア・ラゴ・クラブのメンバーでもあるハワード・ケスラー氏が出席しました。

閣僚の立場の違い

RFK Jr.: 連邦レベルでの非犯罪化を以前から支持。自身の依存症経験から、高THC大麻への懸念も表明

メット・オズ: スケジュールIIへの移行を主張し、スケジュールIIIには反対の立場

ジョンソン下院議長: 科学的データが不十分として再分類に反対

注目すべきは、閣僚間でも意見が分かれている点です。メット・オズ長官はスケジュールIIIではなく、スケジュールII(医療用途はあるが乱用の危険性が高い分類)を支持しています。スケジュールIIの場合、IRC 280E条は依然として適用され、大麻事業者の税負担は改善されません。最終的にどの分類になるかは、今後の政治的交渉に委ねられています。

業界と市場への影響

トランプ大統領の再分類計画が報じられると、大麻関連株は急騰しました。Tilray Brands社とCanopy Growth社の株価はそれぞれ44%以上52%以上上昇しました。大麻温室運営会社のInnovative Industrial Propertiesは約9%上昇し、Amplify Seymour Cannabis ETF(CNBS)は54%以上上昇して過去最高の上昇率を記録しました。

項目現状(スケジュールI)スケジュールIII移行後
税控除(IRC 280E)事業経費の控除不可通常の事業と同様に控除可能
銀行サービス制限ありアクセス改善の可能性
医療研究厳格な制限研究が容易に
連邦犯罪製造・販売・所持は犯罪依然として規制対象

スケジュールIIIへの移行が実現すれば、大麻業界にとって最大の恩恵はIRC 280E条の適用除外です。現在、大麻事業者は売上原価以外の経費を控除できないため、実効税率が70%を超えるケースもあります。スケジュールIIIになれば、他の事業と同様に経費控除が認められ、収益性が大幅に改善する見込みです。

さらに、報道によると、トランプ大統領はCBD治療に対するメディケア保険適用も検討しています。これが実現すれば、CBD産業にとっても大きな追い風となるでしょう。

今後の展望

重要な点として、大統領令だけでは大麻の分類を直接変更することはできません。トランプ大統領にできるのは、関係機関に再分類を指示することであり、これはバイデン前大統領が2022年に行ったことと同様です。ただし、トランプ政権は行政手続きを加速させる可能性があります。

現在のDEAの公聴会プロセスでは、証人尋問が2025年3月6日まで予定されています。このスケジュール通りに進めば、最終決定は2025年後半になる可能性があります。しかし、トランプ大統領の積極的な介入により、このプロセスが早まる可能性もあります。

スケジュールIII移行でできないこと

連邦レベルでの嗜好用大麻の合法化は実現しない

州をまたいだ大麻の商取引は依然として違法

連邦法の下での製造・販売には依然として規制が適用される

最新のギャラップ調査によると、米国民の**64%**が大麻合法化を支持しています。これは2015年の58%、2005年の36%から大幅に増加しており、世論は明らかに規制緩和の方向に動いています。トランプ大統領自身も2024年のフロリダ州大麻合法化住民投票(Amendment 3)を支持するなど、大麻に対して比較的寛容な姿勢を示してきました。

FAQ

Q1: スケジュールIIIへの移行で大麻は連邦レベルで合法になりますか?

いいえ、スケジュールIIIへの移行は完全な合法化を意味しません。大麻の製造、販売、所持は依然として連邦法の規制下に置かれます。ただし、規制は大幅に緩和され、ステロイドや一部の処方鎮痛剤と同等の扱いになります。各州での合法化状況には変化がなく、州法に従って運営される既存の大麻事業は継続できます。

Q2: 日本への影響はありますか?

米国の政策変更は日本の法律に直接影響を与えるものではありません。日本では2024年12月12日に改正大麻取締法が施行され、大麻由来医薬品の使用が可能になる一方、使用罪が新設されました。ただし、米国での研究促進により、エピディオレックスのような大麻由来医薬品の開発が加速すれば、日本での医療大麻の選択肢が広がる可能性はあります。

Q3: 大統領令はいつ署名されますか?

報道によると、早ければ2025年12月15日(月曜日)にも署名される可能性があります。ただし、ホワイトハウス関係者は「最終決定はまだ下されていない」と述べており、署名時期は変更される可能性があります。閣僚間での意見の相違もあり、最終的な内容や時期は流動的な状況です。

まとめ

この記事のまとめ

トランプ大統領は大麻をスケジュールIIIに再分類する大統領令に署名する見込み

再分類により大麻業界の税負担が大幅に軽減され、研究も促進される

ただし連邦レベルでの完全合法化ではなく、規制は継続される

参考文献

[1]
Trump expected to sign executive order to reclassify marijuana
CNBC, 2025年12月12日
[2]
Trump Prepares to Reschedule Cannabis to Schedule III
Cannabis Business Times, 2025年12月12日
[3]
Pot Stocks Rise on Trump Plan to Ease Cannabis Restrictions
Bloomberg, 2025年12月12日
[4]
DEA to Hold Hearing on the Rescheduling of Marijuana
DEA, 2024年11月26日
[5]
Cannabis and Trump 2.0: 2025 and beyond
Reuters, 2025年1月9日

この記事の関連用語

クリックで用語の詳しい解説を見る

関連記事

この記事を読んだ人はこちらも読んでいます