CBDの抗がん作用|2026年最新レビューが示す腫瘍抑制のメカニズム

この記事のポイント
✓ 2026年1月発表の最新レビューでCBDが「抗腫瘍剤として大きな可能性」を持つと結論
✓ 乳がん、肺がん、大腸がん、膠芽腫など複数のがん種で効果を確認
✓ アポトーシス誘導、転移抑制、腫瘍微小環境の調節など多標的で作用

CBD(カンナビジオール)が持つ抗がん作用について、2026年1月に発表された最新のシステマティックレビューが注目を集めています。中国・ハルビン医科大学の研究チームがPhytomedicine誌に発表したこのレビューでは、CBDが「抗腫瘍剤として大きな可能性を持つ」と結論づけられました。
本記事では、この最新レビューの内容を中心に、CBDの抗がん作用のメカニズムと対象となるがん種、そして今後の課題について詳しく解説します。なお、現時点でCBDはがん治療薬として承認されておらず、本記事は科学的知見の紹介を目的としています。
2026年最新レビューの概要
2026年1月、Phytomedicine誌に「Unlocking the potential: Cannabidiol (CBD) as a promising anti-tumor agent」と題したシステマティックレビューが掲載されました。著者はハルビン医科大学のShuqin Duan氏らの研究チームです。
このレビューでは、CBDの抗腫瘍効果について、複数のがん種での有効性、基礎メカニズム、安全性プロファイルを包括的に評価しています。研究チームは、前臨床研究(試験管内試験および動物実験)のデータを体系的に分析しました。その結果、CBDが増殖抑制、アポトーシス誘導、転移抑制、免疫調整を介した腫瘍微小環境のリモデリングを含む多標的抗腫瘍効果を示すことを明らかにしました。
レビューの結論として、「CBDは抗腫瘍薬として大きな可能性を持つ」と述べられています。今後は臨床試験での検証、標的薬物送達システムの最適化、標準化された治療プロトコルの確立に焦点を当てるべきとされています。
CBDの抗腫瘍メカニズム
CBDの抗がん作用は、単一の経路ではなく、複数のメカニズムが重なり合って発揮されることが特徴です。以下に主要なメカニズムを整理します。
🔬 CBDの主な抗腫瘍メカニズム
受容体依存性: CB1/CB2受容体、TRPV1/TRPV2、PPARγを介した作用
シグナル経路調節: PI3K/AKT/mTOR、MAPK/ERK、NF-κB経路の制御
細胞死誘導: アポトーシス(68%)、オートファジー(9%)、両方(18%)
酸化ストレス: ROS(活性酸素種)の生成促進
これらのメカニズムは相互に関連しており、複合的に抗腫瘍効果を発揮します。それぞれの詳細を見ていきましょう。
受容体を介した作用
CBDはカンナビノイド受容体であるCB1およびCB2受容体に作用します。さらに、TRPV1/TRPV2(一過性受容体電位チャネル)やPPARγ(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体)にも影響を与えます。これらの受容体を介して、がん細胞の増殖抑制やアポトーシス(プログラム細胞死)の誘導が起こります。
特に大腸がんでは、GPR55受容体の阻害がCBDの抗腫瘍効果に重要な役割を果たすことが明らかになっています。GPR55はがん細胞の分裂と転移を促進する受容体です。CBDがこれをブロックすることで、腫瘍の成長を抑制します。
シグナル伝達経路の調節
CBDは複数の細胞内シグナル伝達経路に影響を与えます。PI3K/AKT/mTOR経路はがん細胞の生存と増殖に重要な経路であり、CBDはこの経路を抑制することでがん細胞の成長を阻害します。
また、MAPK/ERK経路の活性化を通じてアポトーシスを誘導します。さらに、NF-κB経路の抑制により炎症反応と腫瘍形成を抑制することも確認されています。
細胞死の誘導パターン
前臨床研究のメタ分析によると、CBDによるがん細胞死の誘導パターンには特徴があります。アポトーシス(プログラム細胞死)が最も多く68.18%を占めています。次いで、アポトーシスとオートファジーの同時誘導が18.18%、オートファジー単独が9.09%、ネクローシス(壊死)が**4.54%**という割合です。
がん種別の効果
CBDは複数のがん種に対して抗腫瘍効果を示すことが前臨床研究で確認されています。以下の表に、主ながん種とその効果をまとめました。
| がん種 | 主な効果 | 関与するメカニズム |
|---|---|---|
| 乳がん | アポトーシス誘導、増殖抑制 | PI3K/Akt/mTOR経路、PPARγ |
| 肺がん | 侵襲抑制、転移抑制 | ICAM-1、TIMP-1、CB1/TRPV1 |
| 大腸がん | 増殖抑制、アポトーシス | CB1、TRPV1、PPARγ、GPR55 |
| 前立腺がん | アポトーシス誘導 | TRPM8拮抗、PUMA/CHOP |
| 膠芽腫 | 増殖抑制、細胞死誘導 | TRPV2、酸化ストレス |
| メラノーマ | アポトーシス、転移抑制 | PPARγ-TET1複合体、LRSAM1 |
それぞれのがん種について、より詳しく見ていきましょう。
乳がん
乳がん細胞に対するCBDの効果は、サブタイプによって異なります。エストロゲン受容体陽性細胞では、細胞生存率の低下、アロマターゼ活性の抑制、ERαレベルの低下が見られます。
一方、トリプルネガティブ乳がん(MDA-MB-231細胞)では、CBDが小胞体ストレスを誘導します。これにより、AKTおよびmTORシグナルを抑制し、アポトーシスを誘導することが確認されています。
肺がん
非小細胞肺がん(NSCLC)および小細胞肺がん(SCLC)に対して、CBDは抗侵襲効果を示します。注目すべきは、低用量CBD(3μM)でも効果が確認されている点です。動物モデルにおいて、腫瘍成長と転移性結節の形成を抑制することが報告されています。この効果はカンナビノイド受容体とTRPV1受容体の活性化を介して発揮されます。
メラノーマ(2026年最新研究)
2026年1月に発表された別の研究では、CBDがメラノーマに対して強力な抗腫瘍活性を示すことが報告されました。CBDはPPARγ-TET1複合体の形成を介して、グローバルなDNAメチル化パターンを変化させます。これにより、抗がん作用を持つLRSAM1遺伝子が活性化されます。
LRSAM1の発現上昇により、メラノーマ細胞のアポトーシスが顕著に増強されました。同時に、増殖も抑制されることが確認されています。
臨床応用への課題
CBDの抗がん作用は前臨床研究では有望な結果が得られています。しかし、実際の臨床応用にはいくつかの課題が残されています。
バイオアベイラビリティの問題
CBDは経口摂取時のバイオアベイラビリティ(生物学的利用能)が低いことが知られています。消化管で吸収された後、肝臓で初回通過代謝を受けるためです。その結果、実際に体内で利用される量は摂取量の一部に限られます。
この問題を解決するため、ナノ粒子送達システムの開発が進められています。ナノ粒子化することで吸収率を向上させ、腫瘍組織へより効率的にCBDを届けることが可能になると期待されています。
臨床試験の必要性
現在のエビデンスは主に前臨床モデル(細胞実験および動物実験)に依存しています。ヒトでの安全性と有効性を確認するためには、大規模なランダム化比較試験(RCT)が必要です。
また、最適な用量、投与経路、治療期間についても臨床的に確立する必要があります。これらの知見が蓄積されることで、初めて実用化への道が開けるでしょう。
製品の標準化
大麻には100種類以上のカンナビノイドが含まれています。そのため、製品間で成分のばらつきが生じやすいという問題があります。抗がん作用を目的とした場合、CBDの純度と含有量が標準化された医薬品グレードの製品が必要となります。
FAQ
いいえ、現時点でCBDはがん治療薬として承認されていません。本記事で紹介した研究は主に前臨床段階(細胞実験・動物実験)のものであり、ヒトでの有効性は臨床試験で確認される必要があります。がん治療については必ず医師に相談してください。
CBDは複数のメカニズムを通じて抗腫瘍効果を発揮します。主なものとして、カンナビノイド受容体(CB1/CB2)やTRPV受容体を介したアポトーシス誘導があります。また、PI3K/AKT/mTOR経路の抑制による増殖阻害や、腫瘍微小環境の調節なども含まれます。単一の経路ではなく、複数の経路が重なり合って作用することが特徴です。
主な理由は、ヒトでの大規模臨床試験がまだ十分に行われていないことです。また、CBDの経口摂取時のバイオアベイラビリティが低いという課題もあります。現在、ナノ粒子送達システムの開発など、これらの課題を解決するための研究が進められています。
2024年12月12日施行の改正大麻取締法により、日本では成分規制に移行しました。THC含有量が残留限度値以下(製品形態により異なる)のCBD製品は合法です。ただし、本記事で紹介した抗がん作用は研究段階であり、CBD製品をがん治療目的で使用することは推奨されません。
まとめ
📝 この記事のまとめ
2026年1月のPhytomedicine誌レビューで、CBDが「抗腫瘍剤として大きな可能性」を持つと結論
アポトーシス誘導、転移抑制、腫瘍微小環境調節など多標的メカニズムで作用
乳がん、肺がん、大腸がん、膠芽腫など複数のがん種で前臨床効果を確認
臨床応用にはバイオアベイラビリティ改善と大規模臨床試験が必要
CBDの抗がん作用は、前臨床研究において多くの有望な結果が報告されています。しかし、現時点ではあくまで研究段階であり、がん治療薬として承認されていないことを理解しておく必要があります。
医療免責事項: 本記事は科学的知見の紹介を目的としており、医療アドバイスを提供するものではありません。がんの治療については必ず医師にご相談ください。CBDは現時点でがん治療薬として承認されていません。
参考文献
この記事の関連用語
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