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イチョウ葉エキスで認知症移行ゼロ|2025年RCTと安全な摂取量

ASA Media編集部
5分
イチョウ葉エキスで認知症移行ゼロ|2025年RCTと安全な摂取量

イチョウ葉エキスで認知症移行ゼロ|2025年RCTと安全な摂取量

概要

  • 2025年Frontiers in Neurologyの研究で、イチョウ葉EGb761(240mg/日)を服用したMCI患者42人のうち認知症に移行した患者はゼロ(コントロール群は13.6%が移行)
  • 有効成分EGb761のフラボノイドとテルペノイドが脳血流改善・アミロイドβ凝集抑制・抗酸化の複数経路で作用する
  • 日本では機能性表示食品として91製品が流通。ワーファリン服用者は必ず医師へ相談が必要

「生きた化石」の葉が持つ認知機能への作用

イチョウ(Ginkgo biloba)は2億7000万年以上の歴史を持つ「生きた化石」と呼ばれる樹木で、氷河期を生き抜いた地球上最古の木のひとつです。古くから中国医学では記憶力や集中力を高める目的に使われ、日本でも街路樹として広く親しまれています。現代では、葉から抽出した「EGb761」という標準化エキスが認知機能サプリメントの有効成分として世界中で研究されています。

日本の65歳以上の人口は2024年時点で全体の29.3%に達し、2025年には認知症患者数が約700万人に達すると推計されています。この超高齢社会を背景に、記憶力の維持を訴求する機能性表示食品の市場は急成長しており、消費者庁データベースにはイチョウ葉エキスを主成分とする製品が91製品届出されています。

有効成分EGb761のメカニズム

市場のイチョウ葉サプリは品質がまちまちですが、臨床研究で一貫して使用されているのが「EGb761」という標準化エキスです。このエキスはフラボノイド配糖体24%(ケルセチン・ケンフェロール・イソラムネチン等)とテルペノイド6%(ギンコライドA・B・C・Jおよびビロバライド)に精製されており、この成分比が効果の再現性において重要とされています。

神経保護の観点で特に注目されるのがギンコライドBで、血小板活性化因子(PAF)を阻害することで脳内炎症を抑制します。フラボノイドは強力な抗酸化作用を発揮し、神経細胞を活性酸素から守ります。さらにEGb761は脳血流を改善し、アルツハイマー病の発症に関わるアミロイドβの凝集とタウタンパク質の異常リン酸化も抑制することが報告されており、単一成分サプリとしては多経路での作用メカニズムが確認されています。

2025年の最新臨床エビデンス

MCI患者を対象としたコホート研究(Frontiers in Neurology 2025)

2025年にFrontiers in Neurologyに掲載された韓国順天郷大学の研究は、イチョウ葉研究の中でも特に注目されます。アミロイドPET陽性のMCI(軽度認知障害)患者64人を対象に、イチョウ葉単独療法(240mg/日)を行うグループ(42人)と標準的な認知機能改善薬を投与するグループ(22人)に分けて12ヵ月間追跡しました。

結果は顕著でした。レスポンダー率(治療に反応した患者の割合)はイチョウ葉群100%に対しコントロール群59.1%。アルツハイマー型認知症への移行率はイチョウ葉群0%に対しコントロール群13.6%という差が生まれました。加えて、イチョウ葉群では血中のアミロイドβオリゴマー濃度が有意に低下しており、単なる症状改善ではなく疾患修飾的な作用の可能性が示唆されています。ただし、この試験は後ろ向きコホート設計であるため、前向きRCTによる検証が今後の課題です。

大規模メタ分析(ScienceDirect 2026)

2026年にScienceDirectに掲載された系統的レビューとメタ分析は、18研究・合計7558人のデータを統合しました。アルツハイマー病、血管性認知症、MCI患者を対象としたこの分析では、EGb761(240mg/日・24週間以上)が認知機能、日常生活能力、全体的臨床評価において標準治療と同等以上の改善をもたらすことが示されています。効果量は小さいながら統計的に有意であり、特に神経精神症状(焦燥感・不安)の改善では一定の根拠が得られています。

リアルワールドデータ(Brain Sciences 2025)

Brain Sciences誌(2025年)の大規模コホート分析では、イチョウ葉エキスを処方された軽度〜中等度の認知症患者の12ヵ月進行率が12.7%だったのに対し、未処方群は22.1%でした。無作為化試験ではないため交絡因子の影響は否定できませんが、実臨床でのリアルワールドエビデンスとして、長期服用が認知症進行を遅らせる可能性を支持するデータです。

他の機能性植物との比較

高麗人参(Korean Red Ginseng)ロディオラ(イワベンケイ)も認知機能や抗疲労効果で複数のRCTが報告されており、日本市場でシェアを競っています。

2025年のFrontiers in Pharmacologyが発表したネットワークメタ分析では、健常な成人を対象に複数の天然エキスを比較した結果、「チスタンケ+イチョウ葉」の組み合わせが記憶(SUCRA 89.3%)、実行機能(SUCRA 96.9%)、認知的柔軟性(SUCRA 98.0%)の3指標でトップスコアを記録しました。単独効果と組み合わせによる相乗効果が異なる可能性があり、今後の研究が期待される知見です。

アシュワガンダ機能性キノコ完全ガイドなど他のアダプトゲンとのスタッキング(組み合わせ摂取)も近年注目されていますが、薬物相互作用の研究は十分でなく、現時点では慎重な姿勢が必要です。

副作用と注意点

厚生労働省eJIMのガイドラインによれば、適切な用量(240mg/日以下)のイチョウ葉エキスはほとんどの人にとって安全とされています。報告されている副作用は頭痛、胃のむかつき、めまい、動悸、便秘などで、通常は軽度です。

なお、異なる作用経路でのアルツハイマー研究としてカンナビノイドはアルツハイマー病に効果がある?も注目されており、複数のアプローチによる認知症予防研究が進んでいます。

日本で製品を選ぶ際のポイント

現在、国内では機能性表示食品として「記憶力の維持」を訴求するイチョウ葉製品が91製品届出されています。製品を選ぶ際には次の3点を確認することが重要です。

まず、EGb761または「フラボノイド配糖体24%・テルペンラクトン6%」への標準化が明記されているかを確認します。次に、1日あたりの摂取量が240mgを満たしているか確認します。100mgや120mgでは、臨床試験で有効とされた用量に届かない製品も存在します。最後に、第三者機関による品質試験(COAや農薬残留検査)が公開されているかを確認します。消費者庁のデータベースで届出番号を照合することが、品質確認への最も確実な手段です。

まとめ

  • 2025年のFrontiers in NeurologyのMCI試験でイチョウ葉EGb761が認知症への転換をゼロに抑えた(後ろ向きコホート研究のため追加検証が必要)
  • 作用は脳血流改善・アミロイドβ抑制・抗酸化の複数経路で、機能性植物サプリとしてはエビデンスが比較的充実している
  • 効果発現には240mg/日・24週間以上の継続が必要とされる
  • ワーファリン・アスピリン服用者は必ず医師または薬剤師に相談すること
  • 日本では91製品が機能性表示食品として流通しているが、EGb761標準化の表記を必ず確認する

よくある質問(FAQ)

臨床研究で効果が確認されているのはEGb761に標準化されたエキスを1日240mg、24週間以上継続した場合です。100mgや120mgの製品では十分な有効成分量に達しない可能性があります。日本の機能性表示食品は1日60〜240mgの幅があるため、商品ラベルの摂取目安量を確認してください。

ワーファリン(ワルファリン)との同時服用は出血リスクを高める可能性があります。厚生労働省eJIMも相互作用に注意するよう注意喚起しており、服用前に必ず処方医または薬剤師に相談してください。アスピリンやNSAIDs服用者も同様の注意が必要です。

健常な成人への認知機能向上効果については、現時点でエビデンスは限定的です。2025年のネットワークメタ分析ではイチョウ葉単独よりもチスタンケとの組み合わせが高い効果を示しており、健常者への単独使用の根拠はMCI患者への使用ほど確立されていません。

消費者庁のデータベースで届出番号を確認し、EGb761または「フラボノイド配糖体24%・テルペンラクトン6%」への標準化を明記している製品を優先してください。大手メーカー品は第三者試験を実施している場合が多く、品質の信頼性が高い傾向があります。

作用経路が異なります。イチョウ葉は脳血流改善とアミロイドβ抑制が主な経路で、MCI・軽度認知症の進行抑制に関するエビデンスが比較的充実しています。一方、ヤマブシタケはNGF(神経成長因子)産生促進を通じた神経新生が主な作用です。目的によって使い分けが考えられます。

参考文献

  1. Efficacy of Ginkgo biloba extract in amyloid PET-positive patients with mild cognitive impairment — Frontiers in Neurology 2025
  2. Cognitive and functional effects of Ginkgo biloba in neurodegenerative disorders: Systematic review and meta-analysis — ScienceDirect 2026
  3. Effects of natural extracts in cognitive function of healthy adults: a systematic review and network meta-analysis — Frontiers in Pharmacology 2025
  4. Ginkgo biloba Extract Prescriptions Are Associated with Slower Progression of Dementia Severity — Brain Sciences, MDPI 2025
  5. イチョウ(ハーブ — 医療者)— 厚生労働省eJIM
  6. Ginkgo biloba Extract in Alzheimer's Disease: From Action Mechanisms to Medical Practice — PubMed Central

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