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ロディオラ(イワベンケイ)とは|疲労回復と認知機能向上の科学的エビデンス

ASA Media編集部
13分
ロディオラ(イワベンケイ)とは|疲労回復と認知機能向上の科学的エビデンス

この記事のポイント

✓ ロディオラは北極圏の過酷な環境で育つアダプトゲンハーブで、140種以上の活性成分を含みます

✓ 慢性疲労症状のある100名を対象とした研究で、1週間目から疲労軽減効果が確認されました

✓ 夜勤医師56名の研究で、精神的疲労の軽減と仕事パフォーマンス20%向上が報告されています

✓ Post-COVID症候群(認知障害・疲労)への治療薬候補として2024年に注目されています

✓ 日本では健康食品として購入可能で、1日144〜400mgの摂取が推奨されています

ロディオラ・ロゼア(学名:Rhodiola rosea)は、北極圏やシベリア、スカンジナビア半島などの極寒地域に自生する多年草で、日本では「イワベンケイ」という和名で知られています。「黄金の根(ゴールデンルート)」「北極の根(アークティックルート)」とも呼ばれるこのハーブは、バイキングの時代から体力増強と精神力向上のために使用されてきました。

ロディオラが現代科学の注目を集めるきっかけとなったのは、冷戦時代のソビエト連邦です。ソビエトの科学者たちは、アスリート、宇宙飛行士、兵士のパフォーマンス向上のためにロディオラを研究し、「アダプトゲン」という概念を確立しました。現在では、11件以上のランダム化比較試験(RCT)がロディオラの抗疲労効果を検証しており、2024年にはPost-COVID症候群の治療薬候補としても注目されています。この記事では、ロディオラの科学的エビデンス、作用メカニズム、安全な使用方法について詳しく解説します。

ロディオラ・ロゼア(イワベンケイ)の黄色い花と多肉質の葉
ロディオラ・ロゼア(イワベンケイ)の黄色い花と多肉質の葉

ロディオラとは?極寒の地で育つ「黄金の根」

ロディオラ・ロゼア(Rhodiola rosea)は、ベンケイソウ科ロディオラ属に属する多年生の多肉植物です。標高3000〜5000メートルの高山や北極圏の岩場など、過酷な環境で生育することから、極限状態への適応力を象徴するハーブとして崇められてきました。根を切ると独特のバラのような香りがすることから「rosea(バラ色の)」という学名が付けられています。

歴史的には、バイキングがロディオラを「体力と持久力を高める秘薬」として遠征に携行していたことが記録されています。チベット医学やロシアの民間療法でも、高山病の予防、疲労回復、精神力の強化に用いられてきました。中国では「紅景天(ホンジンティエン)」として知られ、伝統医学において重要な位置を占めています。

現代におけるロディオラ研究の大部分は、冷戦時代のソビエト連邦で行われました。ソビエトの科学者たちは、極限状態でのパフォーマンスを向上させる物質を探求する中で、ロディオラの効果を体系的に研究しました。1960年代には、ロディオラが「アダプトゲン」の条件を満たすことが確認され、オリンピック選手や宇宙飛行士のトレーニングプログラムに組み込まれるようになりました。


主要な有効成分:ロサビンとサリドロシド

ロディオラの根には140種以上の活性成分が含まれていますが、その中でも特に重要なのがロサビン(Rosavin)とサリドロシド(Salidroside)です。これらの成分は、ロディオラの品質評価の指標として国際的に使用されています。

成分化学分類主な作用標準化含有量
ロサビンフェニルプロパノイド配糖体抗疲労、認知機能向上3%以上
サリドロシドフェノール配糖体抗酸化、神経保護、抗うつ1%以上
ロザリンフェニルプロパノイド抗ストレス-
ロジンフェニルプロパノイド抗炎症-

ロサビンはロディオラ・ロゼアに特有の成分であり、他のロディオラ属植物には含まれていません。このため、ロサビンの存在はロディオラ・ロゼアの真正性を証明する指標となります。一方、サリドロシドは複数のロディオラ属植物に共通して含まれますが、神経保護作用や抗酸化作用において最も研究が進んでいる成分です。

品質の高いロディオラ抽出物は、ロサビン3%以上、サリドロシド1%以上に標準化されています。これは、臨床試験で効果が確認された抽出物の規格に基づいており、製品を選ぶ際の重要な基準となります。


科学的エビデンス:疲労と認知機能への効果

システマティックレビューの結果

2012年に発表されたシステマティックレビューでは、ロディオラの身体的・精神的疲労に対する効果を評価するため、6つの電子データベースから関連研究を検索しました。206件の論文から11件(10件のRCTと1件の対照臨床試験)が選定され、分析が行われました。

この分析によると、ヒトを対象とした試験で以下の効果が示されています。

ロディオラの確認された効果

持久力の向上: 運動能力、作業能力、認知能力の向上

疲労の軽減: ストレスの多い状況での疲労感の減少

気分の改善: 不安や抑うつ症状の緩和

慢性疲労への効果(100名の臨床試験)

慢性疲労症状を持つ100名を対象とした研究では、1日400mgのロディオラを8週間にわたって投与しました。その結果、以下の項目において有意な改善が認められました。

  • ストレス症状
  • 倦怠感
  • 生活の質
  • 気分
  • 集中力

特筆すべきは、これらの改善効果が治療開始後わずか1週間で現れ始め、8週間の期間を通じて持続したことです。これは、ロディオラが比較的速やかに効果を発揮することを示唆しています。

夜勤医師を対象とした研究

56名の夜間勤務を行う医師を対象とした研究では、170mgのロディオラを2週間摂取した群において、プラセボ群と比較して以下の結果が得られました。

  • 精神的疲労の有意な軽減
  • 仕事に関連した課題のパフォーマンスが約20%向上
  • 疲労指数(Fatigue Index)の有意な改善

興味深いことに、ウォッシュアウト期間(ロディオラ摂取を中止した期間)には、改善した精神的パフォーマンスがベースライン値に戻りました。これは、ロディオラの効果が継続摂取に依存していることを示しています。


Post-COVID症候群への応用可能性

2024年の最新研究

2024年3月にJournal of Neural Transmission誌に発表された研究では、Post-COVID症候群(Long COVID)の主要な神経精神症状である認知障害、うつ病、精神的疲労の治療にロディオラが有効である可能性が検討されました。

研究者らは、「ハーブ薬は多くの異なる成分と異なる薬理学的特性・標的を含むため、認知障害と疲労の治療に有望なアプローチである」と述べています。特に、イチョウ葉エキス(Ginkgo biloba)とロディオラは、この目的に対して最も研究が進んでいる候補として位置づけられています。

Post-COVID主要症状

認知障害(ブレインフォグ)

うつ病

精神的疲労

ロディオラの作用

抗炎症作用

抗酸化作用

神経保護作用

抗アポトーシス作用

期待される効果

認知機能の改善

疲労感の軽減

生活の質の向上

ロディオラは、抗炎症、抗酸化、抗アポトーシス(細胞死抑制)、神経保護の各作用を持つことが確認されており、これらの多面的な作用がPost-COVID症候群の複雑な病態に対して有効である可能性が示唆されています。


作用メカニズム:なぜロディオラは効くのか

ロディオラの効果は、複数の分子メカニズムを介して発揮されます。

HPA軸の調整

アシュワガンダと同様に、ロディオラも視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸を調整することでストレス応答を正常化します。慢性的なストレス下では、HPA軸が過剰に活性化してコルチゾールの分泌が持続しますが、ロディオラはこの過剰活性化を抑制し、ストレスホルモンのバランスを回復させます。

神経伝達物質の調節

ロディオラは、脳内の主要な神経伝達物質であるセロトニン、ドパミン、ノルエピネフリンのレベルを調節することが示されています。これらの神経伝達物質は、気分、意欲、集中力、認知機能に重要な役割を果たしています。特に、ストレスによって低下したこれらの神経伝達物質のレベルを回復させる効果が報告されています。

ミトコンドリア機能の向上

ロディオラに含まれるサリドロシドは、細胞のエネルギー産生を担うミトコンドリアの機能を向上させることが示されています。これにより、身体的・精神的なエネルギーレベルが向上し、疲労感が軽減されると考えられています。

抗酸化作用

ロディオラは強力な抗酸化作用を持ち、酸化ストレスから神経細胞を保護します。酸化ストレスは、疲労、認知機能低下、老化促進の主要な要因の一つであり、これを軽減することで全身の健康維持に寄与します。


安全性と副作用

一般的な安全性

厚生労働省の「統合医療」情報発信サイト(eJIM)によると、イワベンケイ(ロディオラ)を1日2回、6〜12週間摂取することは、ほとんどの人にとって安全とされています。ただし、どのような健康目的に対しても、イワベンケイが有用であるかを結論づけるには、人を対象とする研究に基づく科学的根拠(エビデンス)がまだ不足しているとも指摘されています。

報告されている副作用

副作用発現頻度対処法
めまい時々用量を減らす、食後に摂取
口腔乾燥時々水分を十分に摂取
唾液の過剰分泌まれ用量を減らす
不眠まれ(高用量時)朝に摂取、用量を減らす

注意が必要な人

  • 自己免疫疾患の方: ロディオラは免疫系を刺激する可能性があり、多発性硬化症や関節リウマチなどの自己免疫疾患を悪化させる恐れがあります
  • 妊娠中・授乳中の方: 安全性が確認されていないため、使用を避けることが推奨されます
  • 双極性障害の方: 気分の変動を誘発する可能性があります

薬物相互作用

ロディオラは、以下の薬剤と相互作用を起こす可能性があります。

  • 抗うつ薬(SSRI、SNRI、MAO阻害薬): セロトニン症候群のリスクが高まる可能性
  • 降圧薬: 血圧をさらに下げる可能性
  • 糖尿病薬: 血糖値をさらに下げる可能性
  • 免疫抑制薬: ロディオラの免疫刺激作用により効果が減弱する可能性

摂取量と選び方

推奨用量

インデナ社(ロディオラ抽出物の主要メーカー)によると、有効成分として規格化されたエキスの推奨量は1日144〜400mgとされています。臨床試験では、170〜400mg/日の用量が使用されており、効果は1〜2週間で現れ始めることが多いです。

用量の目安

軽度の疲労・ストレス対策: 100〜200mg/日

中程度の疲労・認知サポート: 200〜400mg/日

高強度の身体活動・ストレス: 400〜600mg/日

摂取タイミング

ロディオラは軽い刺激作用があるため、朝または午前中に摂取することが推奨されます。夕方以降に摂取すると、不眠を引き起こす可能性があります。空腹時に摂取すると吸収が良くなりますが、胃腸の不調を感じる場合は食後に摂取してください。

製品の選び方

  • 標準化抽出物: ロサビン3%以上、サリドロシド1%以上に標準化された製品を選ぶ
  • SHR-5抽出物: 多くの臨床試験で使用されている標準化抽出物
  • 第三者検査: 重金属、農薬、微生物汚染の検査を受けている製品を選ぶ
  • GMP認定: 製造品質が管理された工場で生産された製品を選ぶ

日本での入手方法

ロディオラはアシュワガンダと異なり、日本では「医薬品成分」に指定されていません。そのため、健康食品・サプリメントとして国内の店舗やオンラインショップで購入可能です。ただし、製品によって品質に差があるため、上記の基準を満たした製品を選ぶことが重要です。


FAQ

Q1: ロディオラは日本で買えますか?

はい、購入できます。ロディオラ(イワベンケイ)は日本では医薬品成分に指定されていないため、健康食品・サプリメントとして国内の店舗やオンラインショップで販売されています。iHerbなどの海外サイトからの個人輸入も可能です。

Q2: ロディオラの効果はどのくらいで感じられますか?

臨床試験のデータによると、効果は摂取開始から1〜2週間で現れ始めることが多いです。慢性疲労症状を持つ100名を対象とした研究では、1週間目から改善が認められ、8週間にわたって持続しました。ただし、個人差があるため、効果を実感するまでの期間は人によって異なります。

Q3: ロディオラとアシュワガンダは併用できますか?

両方ともアダプトゲンとして分類され、ストレス対策に使用されますが、作用は若干異なります。ロディオラは刺激的でエネルギーを高める傾向があり、アシュワガンダは鎮静的でリラクゼーションを促す傾向があります。併用による相乗効果が期待される場合もありますが、科学的なエビデンスは限られています。併用する場合は、各成分を低用量から開始し、体調を観察しながら調整することをお勧めします。

Q4: ロディオラはカフェインと併用しても大丈夫ですか?

ロディオラには軽い刺激作用があるため、カフェインと併用すると刺激効果が増強される可能性があります。不安感、動悸、不眠などの症状が現れる場合があります。併用する場合は、カフェイン摂取量を通常より減らすか、ロディオラの用量を低く抑えることをお勧めします。

Q5: ロディオラは運動パフォーマンスを向上させますか?

いくつかの研究で、ロディオラが持久力と回復力を向上させる可能性が示されています。アスリートを対象とした研究では、運動誘発性の疲労軽減と酸素消費効率の改善が報告されています。ただし、効果は個人差があり、全ての研究で一貫した結果が得られているわけではありません。アダプトゲンとして、ストレス下でのパフォーマンス維持に役立つ可能性が高いと考えられています。


まとめ

この記事のまとめ

ロディオラは北極圏の過酷な環境で育つアダプトゲンで、バイキング時代から体力増強に使用されてきました

主要成分のロサビンとサリドロシドが、抗疲労・認知機能向上・神経保護作用を発揮します

臨床試験で、慢性疲労の軽減効果が1週間目から確認され、8週間持続しました

夜勤医師の研究では、2週間の摂取で仕事パフォーマンスが約20%向上しました

Post-COVID症候群(認知障害・疲労)への治療薬候補として2024年に研究が進んでいます

日本では健康食品として購入可能で、1日144〜400mgの摂取が推奨されています

副作用は軽度で、めまい・口腔乾燥などが報告されています。自己免疫疾患の方は注意が必要です

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