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CBDクリームでアトピーが改善?2025年臨床試験で74%がかゆみ軽減

ASA Media編集部
12分
CBDクリームでアトピーが改善?2025年臨床試験で74%がかゆみ軽減

この記事のポイント

  • 2025年Wiley掲載の臨床試験で、2%CBD外用クリームを使用した中等症〜重症アトピー患者19名の74〜83%がかゆみの鎮静効果を報告
  • 30%CBD+5%CBG複合軟膏の試験では、SCORAD・EASIスコアがいずれも改善し、皮膚バリア機能の回復が確認された
  • CBD+ショウガエキス複合乳剤(BNO 3731)の臨床試験では、かゆみ強度が55%減少、75%の参加者が有意なかゆみ改善を達成
  • CBDは皮膚のエンドカンナビノイドシステムに作用し、Th2偏向免疫応答の調整とTSLP(胸腺間質性リンパ球新生因子)産生の抑制を通じて炎症を鎮静する
  • いずれの試験でも重篤な有害事象は報告されておらず、ステロイド外用薬の使用量削減(ステロイド節約効果)を示す初期データも出ている

日本では成人の5〜8%、小児の12〜13%がアトピー性皮膚炎を抱えており、皮膚科受診理由の第2位を占める国民的皮膚疾患である。慢性的なかゆみと炎症の繰り返しは患者のQOLに大きく影響し、ステロイド外用薬への長期依存も多くの患者の悩みとなってきた。こうした背景のもと、非精神活性のカンナビノイドであるCBDを外用製剤として皮膚に直接作用させる研究が2024〜2025年にかけて加速し、複数の臨床試験が実施された。本記事では、最新の3つの臨床試験データをもとに、外用CBDがアトピー性皮膚炎に与える影響を科学的に検証する。

アトピー性皮膚炎とエンドカンナビノイドシステムの接点

アトピー性皮膚炎の病態の核心には、皮膚バリア機能の低下とTh2(ヘルパーT細胞2型)優位の免疫応答の亢進がある。IL-4、IL-13、IL-31といったサイトカインが過剰産生され、持続的なかゆみと皮膚の炎症が生じるメカニズムは、2024年版の日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドラインでも詳細に記述されている。

ここで注目すべきは、皮膚にも独自のエンドカンナビノイドシステム(ECS)が存在するという事実だ。ケラチノサイト(表皮細胞)、マスト細胞、樹状細胞、感覚神経線維のいずれにもカンナビノイド受容体(CB1・CB2)が発現しており、皮膚の恒常性維持に中心的な役割を果たしている。2024年にPubMedに掲載されたレビュー研究では、アトピー性皮膚炎患者の皮膚ではCB1受容体の発現が低下しており、ECSの機能不全がかゆみや炎症の慢性化に寄与している可能性が示された。外用CBD製剤がこの機能不全に介入できるかどうか——それが今回の一連の臨床試験が問いかける核心である。

2025年Wiley掲載:2%CBD外用クリームの臨床試験

2025年3月、英国皮膚科学誌のひとつであるDermatological Reviews(Wiley刊行)に、アトピー性皮膚炎に対する新規2%CBD外用クリームを評価したパイロット試験が掲載された(DOI: 10.1002/der2.70024)。

試験には中等症〜重症のアトピー性皮膚炎と診断された19名の成人患者が参加し、1日2回・4週間にわたって患部に2%CBD外用クリームを塗布した。評価項目は、患者の主観的評価(かゆみ・不快感の変化)と客観的評価(皮膚の水分量・炎症所見・全体的な皮膚の外観の改善)の双方にわたる。

最も注目に値する結果は、かゆみへの作用だ。第1週時点で74%の参加者が患部の鎮静・なだらかな感覚を報告し、第2週には83%に上昇、4週間後も74%で維持された。客観的評価においても、皮膚の保湿状態の改善、炎症の軽減、全体的な皮膚外観の向上が確認され、臨床写真でも一致した結果が得られた。CBDがTh2免疫応答を調節してTSLP産生を抑制するという過去のin vitroデータとの整合性が、今回の臨床試験でも裏付けられた形だ。重篤な有害事象の報告はなく、全参加者が4週間の試験期間を完遂した。

CBD+CBG複合軟膏:バリア機能の回復に特化した試験

単一成分のCBDだけでなく、複数のカンナビノイドを組み合わせた試験も進んでいる。2025年にPubMedに掲載された研究(PMID: 40124934)では、30%CBD+5%CBG(カンナビゲロール)を配合した軟膏がアトピー性皮膚炎患者9名に対して評価された。

CBG(カンナビゲロール)は、CBDとは異なる結合親和性を持つカンナビノイドであり、特にPPARγ(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ)への作用を通じた抗炎症効果が注目されている。また、皮膚の脂質代謝を調整する作用が期待されており、CBDV・CBGの抗炎症シナジー効果に関する最新研究でも、この組み合わせの相乗効果が実証されている。

本試験では、ベースライン・4週間後・8週間後の3時点で皮膚の生物物理学的パラメータを計測し、皮膚科の標準評価スケールであるSCORAD(SCORing Atopic Dermatitis)とEASI(Eczema Area and Severity Index)の両方で改善が確認された。特に皮膚のバリア機能を示す経皮水分蒸散量(TEWL)の改善は注目に値する。TEWLはアトピー性皮膚炎の重症度と強く相関しており、この数値の改善は単なる症状緩和にとどまらず、皮膚そのものの回復を意味するからだ。まるで化学実験で反応の進行度を示す指標が改善されるように、皮膚という「器」の性能が上がっていったのである。

CBD+ショウガエキス複合乳剤:55%のかゆみ減少を達成

3つ目の注目すべき臨床データは、CBDと伝統的な抗炎症成分であるショウガエキス(ジンゲロール含有)を組み合わせた乳剤製剤「BNO 3731」に関するものだ。2024年にEuropean Journal of Dermatologyに掲載されたこの試験(PMID: 39193679)では、アトピー性皮膚炎患者を対象にBNO 3731を外用し、かゆみ・皮膚バリア機能・有害事象を評価した。

結果は顕著だった。かゆみ強度がNRS-11(11段階数値評価スケール)で平均55%減少し、75%の参加者がかゆみスコアで少なくとも2ポイントの有意な改善を達成した。これは臨床的に意味のある改善閾値(MCID)を満たす数値である。また、試験期間を通じて有害事象は一切報告されなかった。ショウガエキスに含まれるジンゲロールが持つTRPV1(バニロイド受容体1型)への拮抗作用と、CBDの抗炎症・抗かゆみ作用が相乗的に機能した可能性が研究チームによって考察されている。

3試験の比較:どの外用CBD製剤が何に効くのか

試験製剤・濃度対象・人数期間主な結果エビデンスレベル
Wiley 2025(DOI: der2.70024)2%CBD外用クリーム中等症〜重症AD 19名4週間74〜83%がかゆみ鎮静を報告、皮膚外観・保湿改善B(パイロット試験)
PubMed 2025(PMID: 40124934)30%CBD+5%CBG軟膏AD患者 9名8週間SCORAD・EASI改善、皮膚バリア(TEWL)回復B(観察試験)
Euro J Dermatol 2024(PMID: 39193679)CBD+ショウガエキス乳剤(BNO 3731)AD患者(複数)かゆみ55%減少、75%が有意改善、有害事象ゼロB(前向き臨床試験)

3つの試験を横並びで見ると、濃度・配合・剤型が異なるにもかかわらず、アトピー症状への改善効果という点で一貫した傾向が確認できる。高濃度製剤(30%CBD)はより強力なバリア修復効果を示し、複合製剤(CBD+CBG、CBD+ショウガ)は単独CBDと異なるメカニズムで相乗効果を発揮している可能性がある。剤型としては、軟膏(油性)が皮膚バリア修復に、乳剤(油水混合)がかゆみの即効性に優れる傾向を示している。

CBDのアトピー改善メカニズム:免疫調整の科学

外用CBDが皮膚に作用する主要メカニズムについて、2024年のPubMed掲載論文(PMID: 39290893)がin vitroデータから重要な知見を提供している。同研究では、CBDがケラチノサイトにおけるTSLP(胸腺間質性リンパ球新生因子)の産生を抑制することが示された。TSLPはアトピー性皮膚炎の発症・増悪を駆動する主要なサイトカインの一つであり、その抑制は炎症カスケードの上流に作用することを意味する。

さらに、CBDはマスト細胞の脱顆粒(ヒスタミン放出)を抑制する作用も持つ。ヒスタミンがかゆみの主要メディエーターであることを考えると、CBDの外用がかゆみに対して直接的な効果を示す理由がここにある。同時に、CBDは皮膚のセラミド産生を促進し、表皮バリア機能を物理的に強化する作用も報告されている。ステロイド外用薬が免疫系を広範に抑制するのとは対照的に、CBDはECSを介した生理的な免疫調整を行うため、長期使用における皮膚萎縮リスクが低い可能性がある。

また、CBDにはTRPV1(痛み・温度・かゆみを伝達するイオンチャンネル)のモジュレーション作用があり、神経性かゆみシグナルの伝達そのものを緩和する可能性も指摘されている。皮膚のかゆみは「免疫性」と「神経性」の2経路から発生するが、CBDはその両方に介入できるという特性を持つ点が、現行の抗ヒスタミン薬やステロイドとの差別化になり得る。

日本でのCBD外用製品の現状と法的位置づけ

日本においてCBD外用製剤の使用は、現行の大麻取締法改正(2023年12月成立・2024年12月12日施行)のもとで明確化された。改正により、CBD製品の合法要件は従来の「部位規制(茎・種子由来のみ合法)」から**「成分規制(THC 0.3%以下であれば部位を問わず合法)」**へと移行した。この変更により、国際的に標準的な製造工程で作られたCBD外用製品は、THC含有量が基準値以下であれば合法的に販売・使用できる。

実際に日本市場には、CBDを含有した外用クリームやセラムが複数流通しているが、そのほとんどは医薬品ではなく化粧品・雑貨として販売されている。CBDコスメ完全ガイドで解説しているように、日本の薬機法下では「医薬品」として承認された外用CBD製剤はまだ存在せず、アトピー性皮膚炎の治療薬としての訴求は薬機法上の誇大広告に該当する可能性がある点に注意が必要だ。臨床的エビデンスの蓄積と、規制当局によるカテゴリ整理の進展が今後の課題となる。

研究の限界と今後の課題

3つの試験はいずれも明確な初期エビデンスを提示しているが、方法論的な限界についても正直に向き合う必要がある。最も大きな問題はサンプルサイズだ——最大の試験でも19名であり、統計的検出力の観点からは結論の一般化には慎重を要する。また、いずれの試験もプラセボ対照の盲検設計が完全ではなく、塗布感の違いによる非盲検化(アンブリンディング)の可能性を排除できない。

比較対照アームの設定も重要な今後の課題だ。ステロイド外用薬(ヒドロコルチゾン等)を対照群とした直接比較試験が実施されれば、外用CBDの位置づけはより明確になる。また、長期安全性データも現時点では不足しており、3カ月以上の継続使用における耐性形成・副作用の評価が求められる。それでもこれらの研究が示す方向性は一貫しており、大規模プラセボ対照RCTの実施を後押しする「十分な予備的根拠」として機能している。

Q1: CBDクリームは市販のステロイド外用薬と比べてどちらが効果的ですか?

現時点では両者を直接比較したRCTが存在しないため、科学的に優劣を断言することはできません。ステロイド外用薬(特に強力なクラス)は即効性・強い抗炎症効果が実証されていますが、長期使用による皮膚萎縮のリスクがあります。CBDは現時点では補完的・補助的な役割として研究されており、ステロイドの代替として医師の指導なしに使用することは推奨されません。ステロイドの使用量を減らしたい場合は、必ず皮膚科医に相談してください。

Q2: 日本でCBD外用クリームをアトピー治療に使用することは合法ですか?

2024年12月12日施行の改正大麻取締法のもとで、THC含有量が0.3%以下のCBD外用製品は部位を問わず合法的に販売・使用できます。ただし、日本では「アトピー性皮膚炎の治療」として承認された外用CBD医薬品はまだ存在せず、市場の製品は化粧品・雑貨として販売されています。薬機法上、医薬品的な効能効果を標榜した販売は規制されているため、購入の際は信頼性の高い成分分析証明書(COA)を確認することが重要です。

Q3: CBD濃度が高いほどアトピーへの効果は大きいですか?

必ずしもそうとは言えません。今回紹介した試験では、2%CBD製剤でも74〜83%の参加者がかゆみの鎮静効果を報告し、30%CBD製剤ではバリア機能の回復が確認されています。ただし高濃度製剤と低濃度製剤の直接比較試験はまだ行われておらず、「最適濃度」は皮膚の状態・部位・製剤の基剤によって異なる可能性があります。また、CBG・ショウガエキスとの複合製剤のように、濃度よりも成分の組み合わせが重要になる場合もあります。

Q4: 外用CBDに副作用はありますか?

今回紹介した3つの臨床試験のいずれでも、重篤な有害事象は報告されていません。ただし、サンプルサイズが小さく試験期間も短期であるため、長期使用における稀な副作用については現時点ではわかっていません。一般的に外用CBDの懸念事項として、接触性皮膚炎(まれ)、他の外用薬との相互作用が挙げられます。特に医師処方のステロイドや免疫抑制薬(タクロリムス軟膏等)と併用する場合は、必ず担当医に確認してください。

まとめ:外用CBDのアトピー研究が示す次のステージ

2024〜2025年にかけて相次いで発表された外用CBD製剤の臨床試験データは、アトピー性皮膚炎という慢性・難治性の皮膚疾患に対してCBDが補完的な役割を果たし得ることを示す初期エビデンスとして注目に値する。かゆみの軽減、皮膚バリア機能の回復、そして有害事象の少なさという共通した傾向は、CBDの外用安全性と忍容性に関する信頼性を高めるものだ。

とはいえ、これらの研究はあくまでも「予備的根拠」の段階にある。大規模プラセボ対照RCT、ステロイド外用薬との直接比較、長期安全性データ——これらが揃って初めて、外用CBDは標準治療の一部として位置づけられる可能性が出てくる。科学の世界では、仮説を証明するプロセスは地道な蓄積の連続だ。今回の3試験はそのスタートラインに立ったことを意味する。アトピー性皮膚炎に苦しむ多くの患者にとって、この研究の積み重ねが新たな選択肢の扉を開く可能性を、ASA Mediaは引き続き注視していく。

カンナビノイドとは何かについてより深く理解したい方や、CBD慢性痛への効果も気になる方はあわせてご参照いただきたい。

この記事のまとめ

  • 2025年Wiley掲載の臨床試験では、2%CBD外用クリームを使用したアトピー患者の74〜83%がかゆみ鎮静効果を報告(19名、4週間)
  • 30%CBD+5%CBG複合軟膏の試験では8週間でSCORAD・EASIスコアが改善し、皮膚バリア機能(TEWL)の回復が確認された
  • CBD+ショウガエキス複合乳剤(BNO 3731)では、かゆみ強度が55%減少し、75%の参加者が有意な改善を達成(有害事象ゼロ)
  • CBDはTSLP産生抑制・マスト細胞脱顆粒抑制・TRPV1モジュレーションの3経路からアトピー症状に介入するとされる
  • 日本では2024年12月施行の改正大麻取締法によりTHC 0.3%以下のCBD外用製品は合法だが、医薬品としての承認製剤はまだ存在しない
  • 大規模プラセボ対照RCTおよびステロイドとの直接比較試験が次のステップとして求められる

参考文献

[1]
Improvement in Atopic Dermatitis Using a Novel Topical 2% Cannabidiol (CBD) Application
Dermatological Reviews (Wiley), 2025年3月, DOI: 10.1002/der2.70024
[2]
Evaluation of Biophysical Parameters of the Skin of Patients With Atopic Dermatitis After Application of an Ointment Containing 30% Cannabidiol and 5% Cannabigerol
PubMed, 2025年, PMID: 40124934
[3]
An oil-in-water emulsion containing a combination of ginger extract and synthetic cannabidiol alleviates symptoms of atopic dermatitis in a clinical trial
European Journal of Dermatology, 2024年8月, PMID: 39193679
[4]
Cannabidiol modulation of immune cell function: in vitro insights and therapeutic implications for atopic dermatitis
PubMed, 2024年, PMID: 39290893
[5]
Cannabidiol in Skin Health: A Comprehensive Review of Topical Applications in Dermatology and Cosmetic Science
PubMed, 2024年, PMID: 41008526
[6]
A therapeutic effect of cbd-enriched ointment in inflammatory skin diseases and cutaneous scars
Clinical Therapeutics (PubMed), 2019年, PMID: 30993303
[7]
English version of clinical practice guidelines for the management of atopic dermatitis 2024
Journal of Dermatology (Wiley), 2025年

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