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WHO勧告(2020年)とは?大麻のスケジュール変更と国連麻薬委員会の歴史的決定

THE ASA MEDIA編集部
8分
WHO勧告(2020年)とは?大麻のスケジュール変更と国連麻薬委員会の歴史的決定

WHO勧告(2020年)とは?大麻のスケジュール変更と国連麻薬委員会の歴史的決定

2020年12月2日、国連麻薬委員会(CND)は、世界保健機関(WHO)の勧告に基づき、大麻と大麻樹脂を1961年麻薬単一条約のスケジュールIVから削除することを決定しました。これは1961年以来59年ぶりとなる大麻の国際規制分類の見直しであり、世界の医療大麻政策に大きな影響を与える歴史的な決定でした。

2020年のWHO勧告は、大麻の国際規制における画期的な転換点となりました。大麻をスケジュールIV(最も危険な薬物)から削除することで、医療目的での有効性が国際的に認められました。ただし、スケジュールI規制は継続されており、完全な規制緩和ではありません。

WHO勧告の背景と経緯

大麻の国際規制を定める主要な条約は、1961年の「麻薬に関する単一条約」です。この条約の下で、大麻はスケジュールIとスケジュールIVの両方に分類されていました。スケジュールIVは「乱用されやすく、悪影響を及ぼしやすい物質」として最も厳しい規制カテゴリーであり、ヘロインやフェンタニルなどの危険なオピオイドと同列に位置づけられていました。

しかし、1961年当時のこの分類は科学的根拠に基づいたものではなく、大麻の国際的な科学評価は一度も行われていませんでした。このため、WHOの薬物依存専門家委員会(ECDD)は2018年に史上初となる大麻の正式な科学レビュー(クリティカルレビュー)を実施することになりました。

ECDDによる科学的レビュー

WHOの薬物依存専門家委員会(ECDD)は、2018年11月に開催された第41回会議において、大麻および大麻関連物質の包括的な科学レビューを完了しました。このレビューは第39回、第40回、第41回のECDD会議にわたって実施され、最新の科学的エビデンスと加盟国からのデータが検討されました。

2018年6月

第40回ECDD会議

大麻関連物質の予備レビュー実施

2018年11月

第41回ECDD会議

大麻のクリティカルレビュー完了、6つの勧告を作成

2019年1月

勧告の公表

WHOが国連麻薬委員会に正式に勧告を提出

2019-2020年

審議期間

加盟国との対話、Q&Aセッションを複数回開催

2020年12月2日

歴史的投票

国連麻薬委員会が勧告5.1を僅差で採択

ECDDの重要な結論は、「大麻と大麻樹脂は、スケジュールIVの他の物質と同様の悪影響を生じさせる可能性が特に高いわけではない」というものでした。さらに、大麻の経口製剤には、疼痛管理やてんかん、多発性硬化症に伴う痙縮など、様々な医学的状態に対する治療可能性があることが認められました。

WHOの6つの勧告

ECDDは大麻関連物質について6つの勧告を提出しました。これらの勧告は、国際条約におけるスケジュール分類の変更を求めるものでした。

採択された勧告

勧告5.1: 大麻と大麻樹脂を1961年麻薬単一条約のスケジュールIVから削除する → 採択(賛成27、反対25、棄権1)

否決された勧告

勧告5.2-5.6: THC関連の分類変更、CBD製品の規制除外、大麻抽出物の分類明確化など → 否決

特に注目されたのは、CBD(カンナビジオール)に関する勧告でした。THC含有量0.2%未満のCBD製品を国際規制の対象外とする勧告は広く否決されましたが、これは技術的・法的な理由によるものでした。アメリカは「CBDには乱用可能性が認められず、国際薬物条約の規制下にあるべきではない」という立場を表明しています。

2020年12月の歴史的投票

2020年12月2日、国連麻薬委員会の53カ国が大麻のスケジュールIVからの削除について投票を行いました。結果は賛成27票、反対25票、棄権1票という僅差での採択となりました。

賛成国(27カ国): アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリアなど、EU加盟国を中心とした先進国

反対国(25カ国): 日本、中国、ロシア、パキスタン、エジプト、ナイジェリアなど

棄権国(1カ国): ウクライナ

この決定は2021年4月に発効し、大麻と大麻樹脂は正式にスケジュールIVから削除されました。ただし、大麻はスケジュールIには残されたままであり、各国は引き続き1961年条約に基づく規制を維持する義務があります。

日本政府の立場

日本政府は、WHO勧告に対して一貫して慎重な姿勢を示しました。勧告の審議段階では「保留」の立場を表明し、最終投票では反対票を投じました。

日本が反対した主な理由として、国内での大麻乱用の増加傾向への懸念、既存の薬物規制体制との整合性、そして医療大麻に対する社会的理解が十分に醸成されていないという判断がありました。

しかし、この国連の決定は、日本国内の法制度にも影響を与えることになります。2024年12月12日に施行された改正大麻取締法では、大麻由来医薬品の使用が認められるようになり、国際的な潮流に一定程度対応する形となりました。

勧告決定の意義と影響

スケジュールIVからの削除は、大麻の完全な規制緩和を意味するものではありませんが、国際社会が大麻の医療的価値を公式に認めたことを示す重要な転換点です。

  1. 医療的価値の国際的承認: 59年間「医療価値なし」とされてきた分類が見直された
  2. 科学的根拠に基づく政策: 政治的ではなく科学的エビデンスに基づく決定
  3. 各国の医療大麻政策への後押し: 国内法整備の国際的正当性が強化された

この決定以降、ドイツが2024年に大麻を合法化するなど、各国の政策に影響を与え続けています。また、医療大麻の研究や製品開発に対する障壁が国際的に低下し、エピディオレックスなどの大麻由来医薬品の普及が加速しています。

CBDの規制状況

今回の投票では、CBD製品を国際規制の対象外とする勧告は否決されました。しかし、CBDの法的地位についてはいくつかの解釈が存在します。

1961年麻薬単一条約のスケジュールには「大麻」「大麻樹脂」「大麻の抽出物およびチンキ」が記載されていますが、CBD単体については明記されていません。一部の専門家や政府は、CBDは条約上の「麻薬」に該当しないと解釈しています。一方、国際麻薬統制委員会(INCB)は、実際のCBD製品は大麻の抽出物であるため規制対象と見なすべきという見解を示しています。

日本では、THCを含まないCBD製品は合法的に使用できます。ただし、2024年の改正大麻取締法により、THC残留限度値が設定されました。CBD製品を選ぶ際は、第三者機関による成分分析証明書(COA)を確認し、信頼できるブランドから購入することが重要です。

FAQ

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参考文献

本記事の作成にあたり、以下の情報源を参照しました。

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