Def Tech・Micro逮捕から考える「大麻使用罪」の現実|改正法施行後の検挙動向と量刑

この記事のポイント
✓ Def TechのMicro被告が大麻所持で逮捕・起訴され、20周年武道館公演が中止に
✓ 2024年12月施行の改正法で「大麻使用罪」が新設され、規制が大幅に強化された
✓ 大麻事犯の検挙人員は年間6,000人超、若年層が7割以上を占める深刻な状況
✓ 初犯の量刑相場は懲役6月〜1年・執行猶予3年だが、社会的影響は甚大
2026年2月2日、音楽ユニット「Def Tech」のMicroこと西宮佑騎被告(45)が、大麻所持の疑いで関東信越厚生局麻薬取締部に現行犯逮捕されました。2月20日に東京地検から麻薬及び向精神薬取締法違反(大麻所持)で起訴され、翌21日に保釈されています。
この事件は、2024年12月12日に施行された改正大麻取締法のもとで起きた著名人逮捕として注目を集めています。改正法では「大麻使用罪」が新設され、従来の所持・譲渡に加えて使用そのものが処罰対象となりました。本記事では、事件の経緯を整理するとともに、改正法施行後の検挙動向や量刑の実態を法的な視点から解説します。
事件の背景
Def Techは2003年に結成された、ShenとMicroの2人組音楽ユニットです。「ジャワイアンレゲエ」と呼ばれる独自の音楽スタイルで知られ、代表曲「My Way」はタイヤメーカーのCMに起用されて広く認知されました。2026年には結成20周年を迎え、2月8日に日本武道館での記念公演を予定していました。
しかし、その記念公演のわずか6日前にMicro被告の逮捕が報じられ、武道館公演および全国ツアーは中止を余儀なくされました。東スポの報道によれば、Micro被告は逮捕前日もリハーサルに参加しており、麻薬取締部はそのタイミングを「狙い撃ち」する形で捜査に踏み切ったとされています。
改正大麻取締法が施行。「大麻使用罪」が新設される
Micro被告、武道館公演に向けたリハーサルに参加
渋谷区の自宅で乾燥大麻約3.517gを所持した疑いで現行犯逮捕
関東信越厚生局麻薬取締部が捜査を実施
20周年記念武道館公演が中止。全国ツアーも中止に
東京地検が麻薬及び向精神薬取締法違反(大麻所持)で起訴
保釈。「ごめんなさい」と深々と頭を下げる
逮捕から起訴まで約18日間、その翌日に保釈という流れは、大麻事犯としては比較的一般的なスケジュールです。今後は公判が開かれ、量刑が決定されることになります。
逮捕から保釈までの経緯
時事通信の報道によると、Micro被告こと西宮佑騎被告は2026年2月2日、渋谷区の自宅において乾燥大麻約3.517グラムを所持していたとして、関東信越厚生局麻薬取締部(通称「マトリ」)に現行犯逮捕されました。
注目すべきは、今回の逮捕が「大麻取締法違反」ではなく、「麻薬及び向精神薬取締法違反」として処理されている点です。これは2024年12月12日の法改正により、大麻が「麻薬」として再分類されたことを反映しています。従来の大麻取締法は栽培規制などに特化した法律として残されましたが、所持・使用・譲渡については麻薬取締法の枠組みで規制されるようになりました。
2月20日、東京地検は西宮被告を麻薬及び向精神薬取締法違反(大麻所持)の罪で起訴しました。翌21日には保釈が認められ、報道陣の前で「ごめんなさい」と深々と頭を下げる姿が報じられています。保釈後の払い戻し対応として、武道館公演のチケットは2月7日から3月31日の期間で返金手続きが進められています。
改正大麻取締法と「使用罪」の新設
法改正の全体像
2024年12月12日に施行された改正大麻取締法は、日本の大麻規制を根本から変える画期的な法改正でした。政府広報オンラインによれば、この改正には3つの柱があります。
第一に、大麻および有害な大麻由来成分であるTHCが「麻薬」として位置づけられました。これにより、従来の「部位規制」から「成分規制」への大きな転換が実現しています。第二に、「大麻使用罪」が新設され、所持だけでなく使用行為そのものが処罰の対象となりました。第三に、大麻由来医薬品(エピディオレックスなど)の医師の処方による使用が可能になりました。
なぜ「使用罪」がなかったのか
従来の大麻取締法に使用罪が存在しなかったのには歴史的な理由があります。戦後、大麻栽培農家が農作業中に大麻成分を意図せず吸い込む可能性があったため、使用そのものは処罰の対象外とされていました。しかし、「大麻は使うだけなら罪にならない」という誤った認識が若年層を中心に広まり、抑止力の欠如が問題視されるようになりました。
さらに、覚醒剤やヘロインなど他の規制薬物には使用罪が存在しており、大麻だけに使用罪がないことは法的整合性の観点からも課題とされていました。
使用罪の罰則
改正法のもとで、大麻に関連する罰則は以下のように整理されています。
| 行為 | 適用法 | 罰則(非営利) |
|---|---|---|
| 所持・譲渡・譲受 | 麻薬及び向精神薬取締法 | 7年以下の拘禁刑 |
| 使用(新設) | 麻薬及び向精神薬取締法 | 7年以下の拘禁刑 |
| 栽培 | 大麻取締法(改正後も維持) | 7年以下の拘禁刑 |
| 営利目的の所持・使用 | 麻薬及び向精神薬取締法 | 1年以上10年以下の拘禁刑 |
なお、2022年の刑法改正により「懲役」と「禁錮」は2025年6月1日から「拘禁刑」に一本化されます。これは刑罰の目的を「罰」から「社会復帰支援・再犯防止」へと明確にシフトさせる改正であり、薬物事犯への処遇にも影響を与える可能性があります。
また、改正法には国外犯処罰規定も設けられており、海外で合法的に大麻を使用した場合でも、日本の法律で処罰される可能性があります。カナダやタイなど大麻が合法化された国への渡航者は特に注意が必要です。
大麻事犯の検挙動向と量刑の実態
検挙人員の推移
警察庁の統計によると、令和6年(2024年)の大麻事犯の検挙人員は6,078人にのぼります。この数字は過去10年で大幅に増加しており、とりわけ若年層での急増が目立ちます。
大麻事犯の検挙データ(令和6年)
検挙人員: 約6,078人
30歳未満の割合: 全体の7割以上
10年前(平成27年)の30歳未満検挙人員: 1,049人 → 約4.4倍に増加
不起訴率(令和4年参考値): 約49%
若年層の検挙が増加している背景には、SNSを通じた大麻の入手経路の拡大や、海外での合法化報道による抵抗感の低下があると指摘されています。改正法による使用罪の新設は、こうした傾向に対する抑止力として期待されています。
初犯の量刑相場
大麻所持の初犯で営利目的でない場合、量刑相場は懲役6月〜1年、執行猶予3年とされています。Micro被告のケースでは、所持量が約3.517グラムと比較的少量であり、営利目的ではないと見られることから、初犯であれば執行猶予がつく可能性が高いと法律の専門家は指摘しています。
ただし、「執行猶予がつく=軽い処分」というわけではありません。前科として記録が残ることで就職や海外渡航に支障が生じるほか、社会的信用の失墜による損害は計り知れません。Def Techの武道館公演中止や全国ツアーの中止だけでも、関係者への経済的・精神的な影響は甚大です。
芸能界における大麻事犯の現状
日本では、芸能人の薬物逮捕が繰り返し社会問題として取り上げられてきました。近年では2024年9月に俳優の清水尋也容疑者が大麻成分を含む植物片の所持で逮捕されたほか、過去にも多くの著名人が大麻関連の容疑で検挙されています。
東洋経済の分析によれば、芸能人の薬物事犯後の復帰には平均2〜3年以上を要するケースが多く、復帰の可否は事務所の対応、世論の反応、本人の更生への取り組みなど複数の要因に左右されます。元NHKアナウンサーの塚本堅一さんのように、依存症予防教育アドバイザーとして新たなキャリアを築いた例もありますが、それは例外的なケースといえます。
今後の展望
Micro被告の公判は今後東京地裁で開かれる見通しです。起訴内容を認めた場合、初犯であれば執行猶予付きの判決が出る可能性が高いとみられています。しかし、刑事手続きの結果にかかわらず、音楽活動の再開には相当の時間を要することが予想されます。
より広い視点で見ると、2024年12月の法改正は日本の大麻政策の大きな転換点です。使用罪の新設による抑止効果がどの程度発揮されるかは、今後数年の検挙統計で明らかになるでしょう。厚生労働省は2025年3月1日にも改正法の一部をさらに施行する予定であり、規制の枠組みは段階的に整備されていきます。
一方で、CBD製品を適法に利用している消費者にとっては、THC残留基準値が明確に設定されたことで、安心して製品を選べる環境が整いつつあります。成分規制への移行は、合法的なCBD市場の健全な発展を後押しする側面もあります。大切なのは、法律を正しく理解し、合法と違法の境界線を認識することです。
FAQ
2024年12月12日に施行されました。この日以降、大麻の使用行為そのものが「麻薬及び向精神薬取締法」に基づく処罰の対象となっています。施行日以前の使用には遡及適用されません。
非営利目的の初犯の場合、量刑の相場は懲役6月〜1年、執行猶予3年程度とされています。ただし、所持量、入手経路、常習性の有無などによって量刑は変動します。また、令和4年の統計では大麻取締法違反の不起訴率は約49%となっています。
改正法には国外犯処罰規定が設けられており、日本国籍を持つ方が海外で大麻を使用した場合、帰国後に処罰される可能性があります。現地で合法であっても日本法では違法となるため、渡航先での使用は控えることを強く推奨します。
THC残留基準を満たした正規のCBD製品を使用する限り、大麻使用罪の対象にはなりません。ただし、THC含有量が基準を超えた製品を使用した場合は処罰の対象となりえます。製品購入時にはCOA(第三者成分分析証明書)を確認し、信頼できるブランドの製品を選ぶことが重要です。
まとめ
この記事のまとめ
Def TechのMicro被告は2026年2月2日に大麻所持で逮捕、2月20日に起訴、翌21日に保釈された
2024年12月施行の改正法で大麻は「麻薬」に再分類され、使用罪が新設。罰則は7年以下の拘禁刑
令和6年の大麻事犯検挙人員は約6,078人。30歳未満が7割超を占め、若年層の増加が顕著
初犯・非営利目的なら執行猶予の可能性が高いが、前科による社会的影響は極めて大きい
合法的なCBD製品はTHC残留基準を満たしていれば引き続き使用可能。正しい法知識が重要
参考文献
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