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CBD×テルペンで深い睡眠は増える?不眠症125名RCTの結論

ASA Media編集部
9分
CBD×テルペンで深い睡眠は増える?不眠症125名RCTの結論

「CBDにテルペンを組み合わせると睡眠が深くなる」という説明を、商品ページやSNSで見かけることがあります。テルペンは植物の香りを構成する成分で、リナロール、ミルセン、リモネンなどが代表例です。

では、CBDとテルペンの組み合わせには、ヒトで確かめられた睡眠効果があるのでしょうか。この記事では、2025年にJournal of Clinical Sleep Medicineへ掲載された不眠症125名の試験をもとに、確認できた変化と確認できなかった変化を分けて解説します。

結論は「睡眠構造に小さな変化は見られたが、よく眠れると断定できる結果ではない」です。CBDテルペンを選ぶときは、研究で使われた量と市販品の違いまで確認する必要があります。

125名を対象にしたランダム化比較試験

この研究は、不眠症のある成人125名を対象にした二重盲検・プラセボ対照・ランダム化クロスオーバー試験です。参加者はCBDとテルペンの製剤、またはプラセボを4週間ずつ試しました。

研究製剤にはCBD300mgに加え、リナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、β-カリオフィレンが各1mg含まれていました。製剤にΔ9-THCは含まれていません。

参加者は週4日以上、就寝のおよそ1時間前に製剤を摂取しました。主要評価項目は、手首装着型の睡眠計で推定した徐波睡眠とREM睡眠の合計割合です。徐波睡眠は一般に「深い睡眠」と呼ばれる段階で、REM睡眠は夢を見やすい睡眠段階として知られます。

深い睡眠とREM睡眠は平均1.3ポイント増えた

CBD・テルペン群では、徐波睡眠とREM睡眠を合わせた割合が、プラセボより平均1.3ポイント高くなりました。95%信頼区間は0.1〜2.5ポイントで、p値は0.03でした。

統計的には差が確認されたものの、平均差は小さい結果です。研究者も論文の結論で「わずかな増加」と表現しています。したがって、「深い睡眠が大幅に増える」「朝までぐっすり眠れる」といった言い換えは適切ではありません。

一方、試験開始時点で徐波睡眠とREM睡眠の割合が低かった参加者や、昼間に眠る参加者では、より大きな変化が見られました。一部の参加者では増加が平均48分に達したと報告されていますが、これは参加者全体の平均ではありません。

睡眠研究では、全体平均と一部集団の結果を分けて読む必要があります。特定の条件に合う人へ効果が大きい可能性は、今後の試験で再現されて初めて確かめられます。

総睡眠時間と主観的な睡眠改善には差がなかった

この試験で重要なのは、良い結果だけではありません。総睡眠時間はCBD・テルペン群で有意に増えず、REM睡眠だけを見た場合にも明確な差はありませんでした。

また、参加者が自分で評価した睡眠の改善にも、プラセボを明確に上回る差は確認されませんでした。睡眠計が推定した睡眠段階に小さな変化があっても、本人が「よく眠れた」と感じるとは限らないことを示しています。

睡眠時間、睡眠段階、寝つき、夜中の覚醒、翌日の眠気は別々の指標です。「睡眠の質」という一言にまとめると、何が変わったのか見えにくくなります。CBDと睡眠の基礎情報を読む際も、どの指標を測った研究なのか確認してください。

研究の限界は何か

第一の限界は、最終解析に使えるデータが56名分だったことです。125名が参加した試験でも、機器データの欠損や研究手順の完遂状況により、主要解析の人数は小さくなりました。結果の安定性を判断するには、より大規模な追試が必要です。

第二に、睡眠段階は医療機関の終夜睡眠ポリグラフ検査ではなく、手首装着型デバイスで推定されました。ウェアラブル機器は日常環境で長期間測定できる一方、脳波を直接測る検査と同じ精度ではありません。

第三に、CBDと8種のテルペンを同時に使ったため、どの成分が変化に関与したのか分かりません。アントラージュ効果という仮説はありますが、この試験だけでCBDとテルペンの相乗作用を証明したとは言えません。

第四に、研究製剤のCBD300mgは、市販品を少量から使う場面と条件が違います。高用量の研究結果を、濃度や摂取方法が異なるベイプ、オイル、グミへ換算することはできません。

CBN規制後の日本でどう読むべきか

日本ではCBNが2026年6月1日から指定薬物となり、原則として製造、輸入、販売、所持、使用などが禁止されています。そのため「CBNの代わり」を探す需要が続いていますが、CBDとテルペンをCBNと同じ体感の代用品として扱うのは適切ではありません。

CBN規制後のCBD・CBG選びでは、成分を置き換えるより、目的を整理して製品の合法性と品質を確認することが重要です。強い体感を求めて新規・半合成カンナビノイドへ移ると、安全性情報や規制状況が追いついていない場合があります。

麻薬取締部は、CBD関連製品をCBDまたはCBGを含む製品と説明しています。しかし、CBD製品という名称だけで日本基準への適合が保証されるわけではありません。購入前には、ロットごとのCOAでΔ9-THC、CBN、CBD・CBG含有量を確認する必要があります。

CBD・テルペン製品を選ぶ5つの確認点

睡眠を目的に製品を見る場合でも、広告の体感表現より先に品質情報を確認します。最低限見るべきポイントは次の5つです。

  1. ロット番号と検査日が一致するCOAを確認できる
  2. 製品区分に応じた日本のΔ9-THC残留限度値へ適合している
  3. CBNなど規制対象成分の検出結果が明記されている
  4. CBDと各テルペンの含有量が数値で示されている
  5. 「不眠が治る」「睡眠薬の代わり」などの断定広告がない

テルペン名だけを並べた商品と、1回あたりの量まで示した商品は情報の質が違います。香りは選びやすさにつながりますが、香りが強いほど睡眠作用も強いとは限りません。

また、CBDは一部の医薬品と相互作用する可能性があります。服薬中の人、肝機能に不安がある人、妊娠・授乳中の人は自己判断で使用せず、医師や薬剤師へ相談してください。眠気や体調変化が出た場合は、運転や危険作業を避け、使用を中止する判断も必要です。

まとめ

不眠症125名を対象にした試験では、CBD300mgと8種のテルペンにより、徐波睡眠とREM睡眠の合計割合がプラセボより平均1.3ポイント増えました。しかし、総睡眠時間と主観的な睡眠改善に明確な差はなく、解析人数や測定方法にも限界があります。

この結果から言えるのは、特定のCBD・テルペン製剤が睡眠構造へ小さな影響を与える可能性です。「CBD×テルペンなら眠れる」「CBNと同じ代替になる」とは言えません。

日本で製品を選ぶときは、強い体感の宣伝より、COA、THC基準、CBN不検出、成分量、広告表現を優先してください。睡眠の悩みが続く場合は、ウェルネス製品だけで対処せず、医療機関へ相談することが大切です。

125名の試験では、深い睡眠とREM睡眠の合計割合がプラセボより平均1.3ポイント増えました。ただし総睡眠時間や主観的な睡眠改善には明確な差がなく、誰にでも睡眠効果があるとは言えません。

1回300mgです。リナロールやミルセンなど8種のテルペンを各1mg組み合わせています。市販品の一般的な使用量や配合とは条件が異なります。

同じ成分でも同じ作用でもないため、単純な代替とは言えません。CBNは日本で指定薬物です。CBD・テルペン製品を選ぶ場合も、COAでCBNとΔ9-THCの検査結果を確認してください。

ロット別COA、Δ9-THCの日本基準への適合、CBNなど規制成分、CBD・テルペン含有量、医療効果を断定していない広告表現を確認してください。

参考文献

  1. Wang M, Faust M, Abbott S, et al. Effects of a cannabidiol/terpene formulation on sleep in individuals with insomnia: a double-blind, placebo-controlled, randomized, crossover study. Journal of Clinical Sleep Medicine. 2025;21(1):69-80. PubMed
  2. 厚生労働省「CBNの指定薬物の指定について
  3. 厚生労働省 麻薬取締部「CBDオイル等のCBD関連製品の輸入について

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