メインコンテンツへスキップ

CBDはドーピング陽性になる?運動後CBG74%検出の最新研究

ASA Media編集部
4分
CBDはドーピング陽性になる?運動後CBG74%検出の最新研究

CBDはドーピング陽性になる?運動後CBG74%検出の最新研究

この記事のポイント

  • WADAが例外として認めるカンナビノイドはCBDだけです
  • ブロードスペクトラムCBDを10週間摂取した研究で、運動後の尿からCBGが74%、CBDVが84%検出されました
  • THCや代謝物は検出されませんでしたが、競技者にはCBGやCBDVもリスクになります

CBDは世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の禁止表で例外扱いですが、「CBD製品なら競技者も安全」とは限りません。2025年にPubMedへ収載された研究では、ブロードスペクトラムCBDを継続摂取した参加者の尿から、競技会時に禁止されるCBGやCBDVが検出されました。

重要なのは、違法なTHCの混入だけが問題ではない点です。CBGやCBDVなど、CBD以外の天然・合成カンナビノイドもWADAでは競技会時の禁止対象です。この記事では研究の条件と限界を整理し、競技者がCBD製品を判断する際の注意点を解説します。

CBDだけはWADAの禁止対象外

WADAの2026年禁止表では、天然・合成を問わずカンナビノイドは競技会時に禁止され、CBDのみが例外です。したがって、純粋なCBDそのものは使用禁止物質ではありません。一方、CBD以外の成分を含む製品は別に評価する必要があります。

CBD製品には、CBDだけを精製したアイソレート、複数のカンナビノイドやテルペンを含むブロードスペクトラムなどがあります。成分の違いは、いわゆるアントラージュ効果の文脈で語られますが、競技者にとっては検査リスクの違いでもあります。

米国アンチ・ドーピング機構(USADA)は、禁止物質が体内から検出された場合、意図の有無を問わずアスリート本人が責任を負う「厳格責任」を説明しています。ラベルにCBDと書かれていても、禁止対象の別成分が入っていれば陽性結果につながる可能性があります。

10週間・1日150mgの研究で何が分かったか

研究には健康な成人36人が参加し、31人がブロードスペクトラムCBD製品、5人が外見の同じプラセボを10週間使用しました。CBD群の摂取量は1日150mgで、製品には微量のCBGが含まれていました。なお、この用量は市販品の一般的な使用量を代表すると断定できません。

10週間後、参加者は空腹状態で90分間、最大酸素摂取量の55%に相当する中強度運動を行いました。研究者は運動前後の血液と尿を調べ、カンナビノイドとその代謝物の変化を分析しています。

運動後の尿では、CBGが74%、CBDVが84%の検体から検出されました。一方、Δ9-THCと、その代謝物である11-OH-THC、11-COOH-THCは、どの測定時点でも検出されませんでした。つまり、この研究が示したのは「THC混入による陽性」ではなく、CBD以外のカンナビノイドが検出される別のリスクです。

なぜ運動後に検出が増えたのか

研究では、運動後に複数のカンナビノイド濃度が高まる傾向が示されました。ただし、この研究だけで、脂肪組織からの放出や尿の濃縮など、増加の仕組みを一つに確定することはできません。運動が検出状況に影響しうるという観察結果として受け止める必要があります。

また、対象者は36人と小規模で、CBD群31人に対してプラセボ群は5人でした。特定の製品と1日150mgという条件で得られた結果であり、すべてのCBD製品や摂取量へ一般化はできません。それでも、トレーニングと検査が日常にある競技者にとっては、実用上無視しにくいデータです。

CBDが運動能力を高めるかについても、現時点の証拠は限定的です。別のランニング研究は、CBDの運動中の効果と限界を報告しており、競技力向上を目的とした安易な使用を支持していません。

日本のアスリートが注意すべき3つの点

1. 「THCフリー」だけでは判断しない

国内ではCBD製品のTHC残留限度値が重要ですが、法令への適合とアンチ・ドーピング規則への適合は同じではありません。THCが基準内でも、CBGやCBDVなどCBD以外のカンナビノイドを含めば、競技会時の禁止表に抵触するリスクがあります。

2. 成分分析書があってもゼロリスクではない

ロット番号に対応した成分分析書(COA)は品質確認の手掛かりになります。しかし、検査対象外成分、測定限界、ロット差、製造時の交差汚染まで完全に排除できるとは限りません。CBD製品のラベル精度にも課題が報告されており、表示だけを保証とみなすのは危険です。

3. 最終責任は競技者本人にある

日本アンチ・ドーピング機構(JADA)は、食品に表示されていない物質が含まれる可能性を指摘し、それが原因でも競技者が責任を負うと説明しています。まず使用目的と必要性を再検討し、競技団体、チームドクター、スポーツファーマシストなどへ相談するのが安全です。

競技者への重要な注意

この記事は一般的な情報提供であり、ドーピング検査の陰性を保証するものではありません。検査対象となる競技者は、CBDを含むカンナビノイド製品を自己判断で使用せず、所属競技団体やアンチ・ドーピング専門家へ確認してください。

一般利用者には何を意味するのか

この研究は「CBD製品が一般利用者に危険」と結論づけたものではありません。検出されたことと、健康被害や酩酊作用が生じることも同義ではありません。研究の焦点は、WADA規則の対象となる成分が尿から検出されうるかどうかです。

一方で、製品選びでは成分の透明性が重要だという教訓は一般利用者にも共通します。CBDとCBGの違いや濃度、ロット別分析結果を確認し、服薬中ならCBDと薬の相互作用について医療専門家へ相談してください。

まとめ

CBD自体はWADAの禁止対象ではありませんが、CBD以外のカンナビノイドは競技会時に禁止されます。ブロードスペクトラムCBDを10週間使用した研究では、90分の中強度運動後、尿検体の74%からCBG、84%からCBDVが検出されました。

THCが検出されなかった点は重要ですが、それだけでアスリート向けの安全性は判断できません。「合法なCBD製品」と「アンチ・ドーピング上リスクのない製品」は別の概念です。検査対象の競技者は、表示やCOAだけに頼らず、必要性を含めて専門家と判断してください。

参考文献

  1. Daily Use of a Broad-Spectrum Cannabidiol Supplement Produces Detectable Concentrations of Cannabinoids in Urine Prohibited by the World Anti-Doping Agency - Medicine & Science in Sports & Exercise, 2025
  2. The 2026 Prohibited List - World Anti-Doping Agency
  3. Athletes: 6 Things to Know About Cannabidiol - USADA
  4. Can Hemp Products Cause a Positive Anti-Doping Test? - USADA
  5. アンチ・ドーピングとサプリメント - 日本アンチ・ドーピング機構
  6. Cannabidiol in sports: insights on how CBD could improve performance and recovery - Sports Medicine - Open, 2023

この記事の関連用語

クリックで用語の詳しい解説を見る

関連シリーズ

  1. 1CBD・CBGの抗菌作用 - 薬剤耐性菌MRSAへの効果と最新研究2024
  2. 2CBD×ランニング:2026年最新RCTが示す運動中の効果と限界
  3. 3CBDは筋損傷の回復を早めるか?2026年RCTで確認された効果と限界
  4. 4CBD・CBG・CBN・CBCは痛みにどう違う?感覚神経研究が示す使い分け
  5. 5CBD・CBG・CBN・CBCは痛みにどう違う?感覚神経研究が示す使い分け

関連記事

この記事を読んだ人はこちらも読んでいます